目次
- 1 誹謗中傷
- 2 インターネットの匿名性と誹謗中傷被害
- 3 誹謗中傷被害を受けた場合の対応
- 4 誹謗中傷投稿者の特定は可能でしょうか?
- 5 インターネット上の名誉棄損・誹謗中傷被害について
- 6 インターネット上の名誉毀損・誹謗中傷加害者
- 7 インターネット上の誹謗中傷・名誉棄損に対する発信者情報開示や削除請求
- 8 誹謗中傷・名誉毀損に関する情報発信
- 9 インターネット上の誹謗中傷と発信者情報開示や削除請求対応
- 10 インターネット上の権利侵害の証拠保全の仕方
- 11 名誉毀損による不法行為
- 12 爆サイでの誹謗中傷・名誉毀損に対する発信者情報開示請求
- 13 名誉毀損で訴えるには? 名誉毀損で訴える(訴訟提起する)条件
- 14 死者に対する名誉毀損と遺族の敬愛追慕の情(念)
- 15 名誉毀損の違法性阻却事由
- 16 インターネット上の名誉毀損と対抗言論の法理
- 17 公正な論評の法理
- 18 死者に対する名誉毀損と遺族の敬愛追慕の情
- 19 (インターネット上の)名誉毀損における賠償費目
- 20 インターネット上の名誉毀損と名誉感情侵害
- 21 名誉毀損のご相談について
誹謗中傷
誹謗中傷とは、根拠のない悪口で人を貶めることを言います。インターネットのない時代から悪口はありましたが、インターネットの発展普及によって市民間が簡単に有害情報を含めた情報発信できる時代となり誹謗中傷も社会問題となっています。
誹謗中傷は、名誉毀損、侮辱、名誉感情侵害などとして法律上民事、刑事両面から問題を生じさせます。
名誉毀損(民事・刑事)
名誉毀損とは、事実の摘示などによって人の社会的評価を低下させる行為を言います。刑法230条1項は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」と定めるなど、刑事罰も課される可能性のある行為として禁圧されます。
侮辱(刑事)
刑法231条は、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定めます。このように具体的な事実を摘示せずに人の社会的評価を低下せしめた時も刑事罰が科される場合があります。
名誉感情侵害(民事)
個人の人格的利益として民事上保護される名誉感情を侵害する場合に不法行為の成立などが認められます。名誉感情は刑事上は保護されていないため、刑事罰は課されません。
インターネットの匿名性と誹謗中傷被害
近年、インターネットの発達により市民が誹謗中傷・名誉毀損の被害に会う、あるいは加害者となる事例が増えてきています。
では、誹謗中傷の被害を受けた場合、どのように対応すればいいのでしょうか。
誹謗中傷被害を受けた場合の対応
インターネットには一見して匿名性があるように考えられがちです。匿名なら、人の悪口を書いても構わないと考える人も、残念ながら少なくないのが現状です。
そのような安易な発想から、軽い気持ちで誹謗中傷・名誉毀損的な言辞を行ってしまうケースが後を絶ちません。しかしながら、軽い気持ちで行う誹謗中傷・名誉棄損が大きな被害を生みます。また、あると思っていた匿名性ははがされ、加害者も法的・社会的責任を負うことになります。
誹謗中傷を受けた場合、法的対応をとる前提として、相手の氏名住所を把握するなど相手方を特定する必要があります。この時、投稿内容などから相手方を知れない場合は、発信者情報開示など法的な手続きによって相手を特定していくことになります。
誹謗中傷投稿者の特定は可能でしょうか?
インターネット上が匿名である、仮想空間であるという幻想が、誹謗中傷投稿を助長し、名誉棄損などの法律上保護される権利侵害事例を増長し、被害及び加害を促しているようにも思われます。
しかしながら、インターネットはインターネット接続契約をしたプロバイダを通してIPアドレスが割り当てられ、初めて通信が可能となります。
IPアドレスはインターネット通信のために各コンピューターに割り当てられる論理値であり、通常はインターネットサービスプロバイダから借り受けるようなイメージで割り当てられます。このIPアドレスが通信のヘッダー部分に収納されて情報の宛先として指定されることが通信の必須条件となっています。
また、IPアドレスは情報の宛先という意味で、原則としてその時点における唯一の番号です。そして、特定の時点における、唯一の番号であるIPアドレスの借り手はプロバイダに把握されます。
このように、インターネット上の個々の通信はかえって特定のための証跡が残るものなのであり、その証跡は第三者であるプロバイダにデータとして保有されます。
その意味で、第三者であるISP(インターネットサービスプロバイダ)は通信内容を物理的には把握しているのであり、完全な匿名というのは幻想という側面があります。
単に、プロバイダの保有する情報について、適切に共有されていない、共有に不要な手間と費用がかかるというのが現在の問題点であり、必ずしもインターネットは匿名を意味するものではありません。
ただし、現状確実に特定できるわけではないことも反面で事実と言える側面があります。このことは念頭に置く必要があります。
インターネット上の名誉棄損・誹謗中傷被害について
インターネット上の行動は必ず誰かが把握し得る状態で証跡が残ります。誹謗中傷や名誉棄損などの第三者の権利を侵害する行動は、厳に慎むべきです。
インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損的言辞は、何も対応をとらなければ半永久的に残ります。また、誹謗中傷・名誉毀損的言辞は、短くない期間、誰にでも到達できる状態で半永久的に残ってしまいます。
このように、インターネットの発達により、誰もが容易に名誉毀損における被害者になってしまう可能性が出てきています。
仮に、他人から名誉を毀損されて困っている、誹謗中傷や名誉棄損の削除方法がわからないなど、名誉毀損に関するお悩みがあれば、専門家への相談もご検討ください。
インターネット上の名誉毀損・誹謗中傷加害者
匿名を軽信して、安易な気持ちで通常発言しないような誹謗中傷や名誉毀損をしてしまう方が少なくありません。
しかしながら、名誉毀損における法的責任は、軽くありません。民事、刑事両方で自らの行動に対して厳しく問責される場合もあり得ます。
例えば、昨今侮辱罪が厳罰化されて話題になりました。
なるべく早期の和解が望ましいところです。平和的な解決により、告訴を避けるなど早期かつ平和的な解決をお望みの場合は、代理人による示談交渉もご検討ください。
インターネット上の誹謗中傷・名誉棄損に対する発信者情報開示や削除請求
インターネット上の誹謗中傷・名誉毀損事案においては、発信者情報開示・削除請求の法的手続が必要になる場合がございます。
現在、インターネット上の誹謗中傷・名誉棄損に対するプロバイダの対応はまちまちです。任意で削除や発信者情報開示に応じるプロバイダ、削除には任意で応じるが発信者情報開示には任意で応じないプロバイダ、削除及び発信者情報開示両方について法的手続きを経なければ削除や情報開示をしないプロバイダ等、プロバイダ毎、事案毎に対応を異にするのが現状です。
もし、インターネット上の名誉棄損や誹謗中傷でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
インターネットにおいては、誹謗中傷、なりすまし、プライバシー侵害(住所など私事性の高い事項の暴露等)などの権利侵害行為が横行しています。インターネット上の人格権侵害行為にお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
誹謗中傷・名誉毀損に関する情報発信
弁護士齋藤理央の誹謗中傷・名誉毀損に関する情報発信は下記でご確認いただけます。