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離婚慰謝料について、最高裁判所(最高裁判所判例昭和31年2月21日民集10・2・124)は,「相手方の有責・不法な行為によって離婚するのにやむなきに至った事につき損害賠償を請求するものであるから、その行為が身体、自由、名誉を害された場合のみに限局されない。」と述べています。つまり、離婚慰謝料の性質について、有責・不法な行為に基づく損害賠償請求権であることを明示しています。

次に,民法768条において規定されている離婚に伴う財産分与請求について最高裁判所は、「財産分与は、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を生産分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の生計の維持を図ることを目的とするものであるが、離婚による慰謝料を含めることもできる。」(最高裁判例昭和46年7月23日民集25・5・805)とのべる一方、「財産分与請求権は…慰謝料請求権と本質を異にし、両請求権のいずれか選択して行使することもでき」(最高裁判所判例昭和31年2月21日民集10・2・124)、「財産分与には慰謝料を含めることもできるが…別個に慰謝料を請求できる」(最高裁判例昭和46年7月23日民集25・5・805)と述べています。

このように,離婚に伴う夫婦間での財産分与(民法768条)には、夫婦間の財産の精算や、離婚後の扶養の意味合いと併せて、離婚に伴う精神的苦痛などの損害賠償の意味合いを含んでおり、また、離婚に伴う有責・不法な行為に対する損害賠償請求だけを分離して請求することもできることとされています。

離婚慰謝料の請求

不法行為

上述のとおり離婚慰謝料の請求は不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求権と理解されています。どのような行為を不法行為と捉えるかはさまざまで、相手方の一連の有責行為(不貞や、精神的侮辱など)を一つの不法行為と捉える場合が原則的ですが、DVにより重大な傷害を負い、刑事事件に発展した場合など特別な不法行為があった場合は、別箇独立の不法行為として一連の有責行為とは別に慰謝料を請求すべき場合もあります。

損害の額

婚姻期間中の相手方配偶者の有責・不法な行為について,損害が発生したと主張する場合損害の額も一次的に明示していくことになります。最終的な損害額は、相手方が同意した金額、乃至は、裁判所が認定した金額となりますが、裁判所が過去に認定した損害額の相場が一つの指標になります。もっとも、有責不法行為の内容や種類や回数や期間、また婚姻自体の期間、相手方配偶者の収入や社会的地位など様々なファクターを通じて損害額が決せられるべきことから,裁判例等が一つの指標となっても、最終的には案件に応じた損害額が認められるべきです。

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