名誉毀損で訴えるには、まず、相手の情報発信が法律上名誉毀損に該当するものでなければなりません。
また、相手の情報発信が名誉毀損に該当するとしても、当該情報発信を証拠保全していること、情報発信をした相手を特定できていることが訴える(訴訟提起する)条件になります。
目次
名誉毀損で訴える(訴訟提起する)条件1 相手の情報発信はそもそも名誉毀損に該当するか
名誉毀損とは
最高裁判所は、「名誉を毀損するとは、人の社会的評価を傷つけることに外ならない」(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁)と判示しています。
名誉毀損が成立する基準
では、誰の判断を前提にして、どのような条件が揃えば「人の社会的評価を傷つけ」たと言えるのでしょうか。
最高裁判所は、「本件各記事の投稿が債権者の名誉を毀損し,その社会的評価を低下させたといえるかどうかは,一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきである」旨判示しています(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁,最高裁平成24年3月23日第二小法廷判決・裁判集民事240号149頁参照)。
つまり、一般の閲覧者・読者を基準として、社会的評価が下がった場合をもって、「人の社会的評価を傷つけ」たと言えることになります。
名誉毀損で訴える(訴訟提起する)条件2 相手の名誉毀損行為を証拠保全できたか
訴訟では、相手の不法行為の存在を被害者の側で主張立証する必要があります。そこで、相手の名誉毀損行為について適切に証拠保全する必要があります。
スクリーンショットでは不十分
インターネット上の権利侵害について、スクリーンショットで証拠保全する方がよくいます。
スクリーンショットもないよりもずっと良いのですが、充分ではありません。
スクリーンショットで問題なのは、①URLが写らない場合があること、②保存した日時がぱっと見てわからないこと、③ウェブページの一部しか保存できない点の3点です。
特に、①URLが写っていない場合、③ウェブページの全容がわからない場合は、証拠として不充分な状態となってしまいます。
PDFでの保存を推奨
そこで弁護士齋藤理央が推奨しているのが、PDFでウェブページを保全する方法です。
PDFでウェブページを保存すると、①URLが写らない場合があること、②保存した日時がぱっと見てわからないこと、③ウェブページの一部しか保存できないこと、というスクリーンショットで問題になる3点がすべてクリアできます。
詳しい証拠保全の解説
下記リンク先で、より詳しい証拠保全の方法を解説していますのでご確認ください。
名誉毀損で訴える(訴訟提起する)条件3 名誉毀損行為を行なった加害者を特定できたか
名誉毀損で訴える(訴訟提起する)条件の3つ目は、名誉毀損をおこなった加害者がどこの誰か、特定できているかという点です。
日本の民事訴訟は、訴状に被告の氏名と住所を明記しなければなりません。そこで、加害者の氏名と住所を把握する必要があります。
発信者情報開示などの方法を利用して、加害者を特定する必要があります。
発信者情報開示請求の概要を教えてください
発信者情報開示請求は,特定電気通信による情報流通(代表的な例:インターネット)による権利侵害について,権利侵害情報の発信者を特定することに資する情報を,特定電気通信役務提供者(典型的な例:プロバイダ事業者)に対して,開示するように求める請求です。
簡単にいえば,インターネットで誹謗中傷されたり,商標・著作物など知的財産を勝手に使われた場合に,誹謗中傷したり,知的財産を勝手に使った(情報を発信した)人間を特定するための特定に有益な情報(=発信者情報)を,プロバイダ事業者などに開示してもらう法的な権利ということになります。
発信者情報開示の手順について教えてください
発信者情報開示は、通常、コンテンツプロバイダ→経由プロバイダという順を追って、発信者を特定することが一般的です。
名誉毀損の加害者を訴える条件として、加害者の特定が必要になります。この時法的に準備されている手段が発信者情報開示請求の手続きです。より詳しい情報は、下記のリンク先をご参照ください。
名誉毀損被害のご相談について
ご相談の場合は、下記のコンタクトフォームなどをご活用ください。