スポーツ・レジャー中の事故
スポーツやレジャーの中には,高山や海中など,そもそも人間の生命維持が困難な自然環境の中で行われるものも,存在します。例えば、スカイダイビング・登山・スキューバダイビングなど,基本的には安全に楽しめるものの一瞬の状況変化が命に関わる大惨事を招くリスクを、内包した種類のレジャーがあります。こうしたスポーツ・レジャー中の事故は,自己責任が問題とされることも少なくありません。しかしながら,スポーツ・レジャーの施行業者や上級者の判断ミス,リスクに対する対策の懈怠などが原因となって不幸な事故の発生が認められるケースが存在することも確かです。
また,スポーツ・レジャー中の事故で当事者が死亡したり,植物状態に近い後遺障害を負った場合、事故が起こったのが高山や海中などの場合、事故の状況を知る関係者が極めて少なく、事実が隠蔽され歪曲されることも懸念されます。真実を明らかにすることを第一の目的として,話し合いや訴訟などの法的対応を望まれる方もいらっしゃいます。
スポーツ・レジャー中の事故において,お怪我をされたり,場合よってはご家族がお亡くなりになられた場合など,法的責任を問えるのか知りたい,施行業者に対して説明責任を果すよう働きかけて欲しいなどご要望があれば,ご相談ください。
ご相談に際しては,お電話で簡単に事情をお聞きし,法律相談のメリットがあるのであれば予約をとらせていただきます。法律相談を実施する場合は面談時に事件の資料などをお持ちいただき,法的な見解を説明させて頂くことになります。
スキューバダイビングのリスク
平成16年 5月28日大阪地裁判決(平13(ワ)4429号 損害賠償請求事件)は、「スキューバダイビングは,自給式水中呼吸装置を用いて行う潜水をいい,呼吸,交信等において強い制約を受ける上,水圧,窒素濃度等により身体的にも強い負担がかかり,水中で呼吸しながら活動するという人間にとって特殊な状況は,それだけで精神的なストレスを受けることとなり,技術を習得した場合であっても,いざ実践となると思わぬミスを犯すことがあり得る。そして,いったん事故が生じた場合には,死亡を含む重篤な状態に至ることが多い」と述べています。
スキューバダイビングのリスクと注意義務及び適切措置、救護義務
同判例は続いて、「特に初心者においては,技術が不足している上に,水中という特殊な環境の下,各種のストレスにより精神的に不安定な状態になり,パニックを起こしやすく,講師等の適切な指導等がなければ,安全な遊泳をすることが困難であり,異常な事態が発生した場合にこれに即応して適切な対応をとることが出来ない可能性が高い」と述べ、以下のようにスキューバダイビング講師に高度の注意義務と措置及び救護義務があると解しました。
すなわち同判例は、「そうすると,スキューバダイビングの初心者に対して,水中で指導を行う講師には,このような危険をふまえ,極めて高度の注意義務が課されていると考えるべきである。具体的には,スキューバダイビング講習会の受講生の動静を常に把握し,受講生に異常な事態が生じた場合には直ちに適切な措置や救護をすべき義務を負うと解するのが相当である」と断じています。
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