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真実性・公共性・公益性

事実を摘示する名誉毀損

「事実を摘示しての名誉毀損にあたっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには、右行為には違法性がなく、仮に右事実が真実であることの証明がないときにも、行為者において右事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定」されます(最高裁昭和三七年(オ)第八一五号同四一年六月二三日第一小法廷判決・民集二〇巻五号一一一八頁、最高裁昭和五六年(オ)第二五号同五八年一〇月二〇日第一小法廷判決・裁判集民事一四〇号一七七頁参照)。

論評による名誉毀損のケース

また、「ある真実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、右意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り、右行為は違法性を欠」きます(最高裁昭和五五年(オ)第一一八八号同六二年四月二四日第二小法廷判決・民集四一巻三号四九〇頁、最高裁昭和六〇年(オ)第一二七四号平成元年一二月二一日第一小法廷判決・民集四三巻一二号二二五二頁参照)。

そして、「仮に右意見ないし論評の前提としている事実が真実であることの証明がないときにも、事実を摘示しての名誉毀損における場合と対比すると、行為者において右事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定されると解するのが相当である」とされます(平成9年9月9日最高裁第三小法廷判決・民集第51巻8号3804頁)。

正当防衛・受忍限度論

被告は,いわゆる対抗言論の主張はしていないとその主張を整理しており,前記アのとおり,本件各投稿については,その経緯に照らし,不法行為が成立するに足る違法性があると評価すべきでないという主張をしているところ,その主張中には,①本件各投稿は,原告の被告に対する「執拗な攻撃」に対応するため,やむを得ず行われたものであるなどとして,正当防衛ないし緊急避難とも解される部分や,②本件各投稿の侵害程度は,本件各投稿に至る経緯のほか,原告の被告に対するツイートの量や内容と比較して本件各投稿が極めて軽微であることなどから,その原因を作った原告において受忍すべき限度にとどまっているというべきであるなどとして,いわゆる受忍限度論の主張と解される部分もある。  

しかし,被告自身が整理しているとおり,前記主張は,前記アの主張の一事情であると理解されるものであるし,仮に,被告の前記主張が,前記アの主張とは別の,①正当防衛ないし緊急避難による違法性阻却,又は②権利の侵害程度が社会生活上一般に受忍すべき限度を超えた場合に違法となるといういわゆる受忍限度論の主張であったと解したとしても,①については,「執拗な攻撃」であるとする原告のツイート等に対して,その内容に対する釈明や反論をするとか,法的根拠に基づいた差止めや損害賠償を請求するなどの対応をとらず,ジャーナリストとして現に活動している被告が,一時は共同でブログを運営していた一私人である原告に対し,不特定かつ多数人が閲覧可能なツイッター上に軽々に本件各投稿を行ったというのは,その方法・態様において相当性を欠くといえ,「やむを得ず」行ったものともいえないし,②については,前記(1)で検討したとおり,本件各投稿は,それ自体で原告の社会的評価の低下を生じさせるものであり,それが極めて軽微であるともいえない上,本件各投稿に至る経緯を踏まえても,本件各投稿が,原告の名誉毀損に該当する以上は,民事上の違法性は否定されないということは前記アで検討したとおりであって,本件各投稿による原告の社会的評価の低下の程度に関して,原告の損害額の算定において考慮されることはあるとしても,本件各投稿の侵害程度が原告の受忍限度の範囲内であって不法行為が成立しないなどということはできない。

平成30年6月28日東京地裁判決・ウェエストロー2018WLJPCA06288019

正当業務行為

最高裁判所は、『新聞紙に事実に反する記事を掲載頒布しこれにより他人の名誉を毀損することは、単なる過失による場合といえどもこれを新聞の正当業務行為と目し得ないことはいうまでもないところであるから、論旨は採ることができない』と判示して名誉毀損的記事が正当業務行為として適法とはならない旨を判示しています(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁)。

対抗言論の法理

対抗言論の法律については、下記リンク先をご参照ください。

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