iT、コンテンツ、情報やエンターテイメント分野において生じる法的課題解決を重視しています

Vtuberを巡る法律業務は複雑であり専門家の関与が望ましいと言えます。法律及び紛争解決の専門家である弁護士が関与することで、将来的な紛争の解決・予防も見据えた法的助言、契約業務などの提供を受けることができます。弁護士齋藤理央は、情報の創作、発信、流通、消費の各過程に知見を有する弁護士としてVtuberを巡る法律業務を提供させて頂きます。

目次

Vtuberとは

Vtuberは、YouTubeなどで配信するYouTuberなどと呼ばれる実演家の中でも、アバターと呼ばれる2Dや3Dの架空のアイコンを利用して配信を行う点に特徴があります。キャラクターと言えるかは疑問の上に固有の問題も多く含みますが、架空のアイコンを利用することからキャラクター法務と処理が共通する部分もあります。

Vtube

Vtuberの配信活動を指す意味合いでYouTubeを文字ってVtubeなどと呼称することがあります。

なぜ、Vtuberを巡る法律問題は複雑なのでしょうか

Vtuber活動においてはイラストレーター(いわゆる絵師)、モデラー、配信者(いわゆる中の人)、プロデューサーなど配信までに関与する人数も多く、経費も数十万円程度の個人事業の規模から数千万円(専用の機材などを含む。)規模のプロジェクトまで幅があります。また、YouTubeなどの配信プラットフォーム事業者が大きな利害関係を持ちます。

このように、事業、活動に関与するクリエイター、演者、事業者などが多くVtuberの権利処理、契約問題などは複雑になりがちです。

Vtuber法務のメリット

昨今、Vtuberの活躍を目にする機会が多くなりました。ますます盛んになるVtuber活動から目が離せません。

しかしながら、Vtubeはキャラクターや生身の配信とも異なる全く新しいエンターテイメントの形態であり、知的財産権法やコンテンツ法における未知の論点が数多くある、いわば紛争の火薬庫とも言える状況です。

そこで、法律専門家である弁護士関与のもと、配信の準備段階から契約内容などを可能な限り詳細に取り決め正確な法的文書(契約書)の形にしておくことで将来の紛争発生の可能性を可能な限り減らせるというメリットがあります。

また、いざ紛争になった場合も、可能な限り早期に法律専門家を関与させ紛争の早期かつダメージのなるべく少ない解決を志向することで大きな利益となり得ます。

ご相談はコンテンツやキャラクター問題にも詳しい弁護士齋藤理央まで

弁護士齋藤理央は、自らキャラクター創作をするなどコンテンツキャラクター事業の背景知識にも詳しい弁護士です。実際に Vtuberを巡る複数の事案に対応、相談経験がありますので、Vtubeに関して紛争や契約問題などでお困りの際は弁護士齋藤理央までお気軽にご相談ください。

Vtuberに対する誹謗中傷などの人格権侵害に対する対応

弁護士齋藤理央は、誹謗中傷などのインターネットトラブル企業風評被害などについても対応経験を幅広く有しています。Vtuberに対する誹謗中傷炎上風評被害などに対して適切な対応をとることでエスカレートを防ぎ、損害を可及的に食い止めるために尽力いたします。もし炎上風評被害誹謗中傷などでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

    インターネットの権利侵害の場合サイトやSNSアカウントのURLをご記載ください(任意)

    ※ファイル添付の場合など直接メールをしたい場合は、メールアドレス 『  infoアットマークns2law.jp  』 までご連絡頂くことも可能です。送信の際、アットマークを@に変換してください。

    Vtuber活動に関連して問題が起こりやすい法領域

    Vtuber活動に関連して現在問題が起こりやすいのは誹謗中傷風評被害、プライバシー侵害などのVtuberに対する人格権侵害の問題や、知的財産権を中心とする権利関係の整理、契約問題などです。

    Vtuberに対する誹謗中傷やプライバシー権侵害など人格権侵害

    現在最も裁判例が多いのはVtuberに対する誹謗中傷やプライバシー権侵害などの配信者(いわゆる中の人)の人格権侵害です。この種の事案では、Vtuberに対する名誉感情侵害や、プラバシー権侵害が裁判所で認められている例が複数あります(後掲)。このような名誉毀損名誉感情侵害、プライバシー侵害などについて法的な対応をとることでエスカレートを防ぎ、配信者のモチベーション低下や風評被害の最小化という利益を得られる可能性があります。

    知的財産権法とVtuber

    Vtuberの活動を巡っては多くの利害関係人が関与するため、権利関係が複雑になりがちです。

    まず、2dモデルの権利帰属などを巡って、著作権法はとても関連性の高い法律になります。Vtuberの配信も映像として著作権による保護を受けるほか、配信者の演技は実演として著作隣接権で保護される可能性があります。

    その他、商標法や不正競争防止法などもVtube活動に関連性の高い知的財産権法です。例えば、アバターやVtuberのハンドルネームなどを商標登録し第三者のただ乗りを許さない措置などが有効です。

    Vtuberと契約問題

    Vtuberは、利害関係人も多く法律関係も複雑になりがちです。そこで、契約処理などをきちんとしておくが枢要となります。

    いうまでもなく、著作権などの知的財産権法が非常に重要になります。

    また、2dモデルの作成などで請負契約など契約段階を規律する法律として民法も重要性が高いと言えます。

    さらに、Vtubeはフリーランスが関与することも多く下請法などのフリーランス保護の法律も関連してくる場合があります。このように契約を巡る法律として幅広い法律が関係してきます。

    プラットフォーマーとの利用規約

    VtubeはYouTubeなどプラットフォームを利用して配信や活動を実施するのが通常です。そこで、プラットフォーマーの定めた利用規約をよく理解しておくことが重要となります。

    Vtubeを巡る裁判例

    昨今、Vtubeを巡る法的紛争も増えており、裁判例も複数公開されています。

    Vtuberに対する名誉感情侵害を認めた事例(令和3年4月26日東京地裁判決(発信者情報開示請求事件))

    この事案(令和3年4月26日東京地裁判決(発信者情報開示請求事件)2021WLJPCA04268004)で裁判所は、動画配信やSNS上での発信は,キャラクターとしての設定を踏まえた架空の内容ではなく,キャラクターを演じている人間の現実の生活における出来事等を内容とするものであることも考慮すると,VTuberの活動は,単なるCGキャラクターではなく,原告の人格を反映したものであると述べています。裁判所がVtuber活動を配信者の人格の反映と評価している点で注目されます。

    その上で裁判所は、「あえて生育環境と結びつけてまで原告を批判する本件各投稿は,単なるマナー違反等を批判する内容とは異なり,社会通念上許される限度を超えて原告を侮辱するものとして,その名誉感情を侵害する」と述べて、Vtuberに対する誹謗投稿を、配信者自身の名誉感情を侵害すると判示して発信者情報の開示を命じています。

    Vtuberの中の人の氏名や年齢をインターネットに投稿した行為をプライバシー権の侵害と判断した事例(令和2年12月22日東京地裁判決(発信者情報開示請求事件))

    令和2年12月22日東京地裁判決(発信者情報開示請求事件)・ウェストロー2020WLJPCA12228030において、本件投稿は,VTuberとして「アバターネーム」(ハンドルネーム)で活動していた原告について,不特定の者が閲覧可能なインターネット上の電子掲示板上で,その本名や概ねの年齢を明らかにするものでした。

    また、原告はインターネット上で自らの本名や年齢を明らかにすることを望まず,これらが一般に知られている状況にはなかったと認定されています。

    この事案について裁判所は、「本名や年齢は個人を特定するための基本的な情報であるところ,インターネット上で本名や年齢をあえて公開せずにハンドルネーム等を用いて活動する者にとって,これらの情報は一般に公開を望まない私生活上の事柄であると解することができるから,本件投稿は原告のプライバシーを侵害するものであったと認められる」と判示しています。

    社外秘であるVtuberの中の人の音声データURLを一般公開した行為が営業権を侵害すると判断された事例 [裁判例] 令和 3年 9月 9日東京地裁判決(発信者情報開示請求事件)

    令和 3年 9月 9日東京地裁判決(発信者情報開示請求事件)・ウェストロー2021WLJPCA09098009は、社外秘である限定公開設定のVtuberの中の人の音声データURLを一般公開した行為が、Vtuber所属事務所の「業務を円滑に遂行するという法律上保護される利益が侵害された」と判断された事例です。

    音声データの保護の必要性

    裁判所は、「本件動画は,原告事務所に所属するVTuberタレント「C」を自らの分身として使用する甲が,原告のオーディションに応募するために録画した動画であり,本件動画には甲の音声が録音されていること,甲は,原告から指示を受けて,本件動画をYouTubeに限定公開動画としてアップロードしたことが,それぞれ認められる」などとして、「本件URL及び本件動画は,本件記事が投稿されるまで一般に公開されていなかったと推認され」ると結論づけています。 

    その上で裁判所は、「原告は,本件URLをグーグルフォームで管理しており,本件記事が投稿された当時,原告社内で同グーグルフォームへのアクセス権限を有していた者は,原告代表者ほか4名の合計5名しかおらず(当時の原告の従業員数は52名であった。),同5名は,本件URLを原告の他の従業員及び第三者に伝えてはならないとされていた」こと、「VTuberは,自らの顔や実名を出さずに特定の2次元のキャラクターを自らの分身として使用して配信活動を行うところ(甲4,6),本件動画は,特定の2次元のキャラクターを自らの分身として使用する者を選定するために録画された動画であり,特定の2次元のキャラクターが録画されておらず,甲の音声しか録音されていなかったから,仮に本件動画が一般に公開されれば,ファンが「C」に抱いているイメージが損なわれる可能性があるということができる」ということから、本件音声データが一般公開されることに不利益があると評価しています。

    営業権の侵害

    その上で裁判所は、「本件記事の投稿によって本件URL及び本件動画が一般に公開されたため,原告は,本件動画を削除したり,本件URL及び本件動画に関する問合せに対応したりすることを余儀なくされたほか,甲から原告の社内の人物が本件発信者ではないかなどと抗議されたため,甲に対し,謝罪するとともに,できる限り法的措置を講じると約束したことが認められる」とし、 「原告は,本件記事の投稿によって業務を円滑に遂行するという法律上保護される利益が侵害されたと認めるのが相当である」と結論づけ、Vtuber所属事務所の営業権の侵害を認めています。

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