I2練馬斉藤法律事務所

I2練馬斉藤法律事務所は練馬駅前に所在し、著作権を中心とした知的財産権やインターネット法、損害賠償や刑事弁護、一般民事などを広く取り扱っています。

Twitter/ツイッターは、ツイート投稿時点のアクセスログを保有していないものの、アカウント開設時のアクセスログ及び、アカウントログイン時のアクセスログ(IPアドレスとタイムスタンプのみ)を保有しています。また、 メールアドレスを保有し、携帯電話認証のためのSMSアドレスを保有している場合があります。

しかしながら、Twitter/ツイッターは、現在、任意の発信者情報開示には応じていません。そこで、アクセスログの開示を求めて発信者情報開示の仮処分を申し立てるか、メールアドレス及びSMSアドレスの開示を含めた発信者情報開示訴訟を提起することになります。

SMSアドレスは現在開示の可否が裁判所においても判断が分かれている状況ですが、2019年札幌地裁判決、2019年東京地裁判決に続き、2020年6月26日に東京地方裁判所でもTwitter/ツイッターに対して、SMSアドレスの開示を認める判決が出されたと報道されています。また、現在電話番号を開示情報に含める省令改正が現実味を帯びてきています。このように、SMSアドレスの開示がTwitter/ツイッターにおける発信者を特定する有効な選択肢となりえる状況になってきました。しかしながら、SMSアドレス開示は訴訟提起が必要になることから、状況を適切に検討して、より特定可能性の高い選択をする必要があります。

このようにTwitter/ツイッターに対する発信者情報開示は、外国法人に対する法的手続を経る必要があるため、専門家でなければ対応は非常に困難と言えます。また、アクセスログについては時間制限がシビアです。まずは、特定可能性を含めて専門家にお早めにご相談頂くことをお薦めします。

弊所では、複数の対応実績がありますので、Twitter/ツイッターでの権利侵害にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

目次

Twitter/ツイッターとは

Twitter/ツイッターは、国内でも1、2を争う利用者数を擁する短文投稿型のSNSです。当初ミニブログという位置づけでしたが、徐々にバイラルメディアとしての地位を確立していきました。

ミニブログとしてそれ自体コンテンツとなりながら、他メディア(ウェブサイト、ウェブログ、Youtubeなど動画投稿サイトなど)の拡散を担う機能も発揮し、2020年現在、国内で非常に広く利用されているSNSとなっています。

Twitter/ツイッター上では、誹謗中傷・名誉棄損やなりすまし、肖像権侵害、著作権侵害など様々なインターネット上の権利侵害が発生しています。

しかしながら、現在Twitter/ツイッターは任意の情報削除や発信者情報開示には応じておらず、アカウント管理者を特定するためには基本的に法的手続きを介した発信者情報開示請求が必要となります。

Twitter/ツイッター米国本社(Twitter,Inc(ツイッターインク))

Twitter/ツイッターのアカウント情報

Twitterのアカウントは、ユーザーネームというユーザーが定める英数字等の組合せで特定できます。しかし、ユーザーネームはユーザーが自由に変更できるため、アカウントの特定には不十分です。そこで、Twitterアカウントの特定には、ユーザーIDを利用する事が推奨されます。ユーザーIDは、ユーザーが決める事なくアカウント開設時に自動的に決定される数字のみで構成されるアカウント固有の番号です。

ユーザーネーム

例えば、弊所弁護士のユーザーネームは、b_saitorioです。Twitter上では、@b_saitorioなどと表示されます。

ユーザーID

これに対して、Twitterアカウント固有のIDは、274060367です。このユーザーIDは、ユーザーネームを変更しても不変であるため、アカウントの特定に便利です。

https://twitter.com/intent/user?user_id=274060367

Twitter/ツイッター運営社

Twitter/ツイッターは、米国カリフォルニア州に本拠を置くツイッターインク(Twitter inc)が運営しています。

Twitter/ツイッター上で生じた権利侵害に対しては、削除、発信者情報開示請求等を行うことができます。

カリフォルニア法人に対する発信者情報開示と、その前提となるカリフォルニア法人の資格証明書取得方法はこちらをご参考ください。

Twitter/ツイッター日本法人

Twitter/ツイッターは、日本にTwitter Japan 株式会社という日本法人を有しています。しかしながら、日本法人はTwitterに投稿された情報の削除権限や、Twitterが保有する発信者情報の開示権限を有していないと説明されています。裁判所も現在、Twitter/ツイッターの日本法人である Twitter Japan 株式会社に対する削除請求や発信者情報開示請求を認めていません。そこで、 Twitter/ツイッターに対する法的請求は、カリフォルニアに登録のあるツイッターインク(米国本社)を相手に手続きを行うことになります。

平成28年9月15日東京地方裁判所民事46部判決(平成27(ワ)17928発信者情報開示請求事件)※但強調は弊所による

原告は,被告米国ツイッター社に加え,被告ツイッタージャパンに対しても 発信者情報の開示を求めている。

そこで判断するに,証拠(乙19~21)及び弁論の全趣旨によれば,被告ツイッタージャパンはツイッターを運営する者ではなく,ツイッターの利用に ついてユーザーと契約を締結する当事者でもないと認められ,本件の関係各証 拠上,同被告がユーザーの特定に関する情報を保有していることや,発信者情 報を開示する権限を有していることはうかがわれない

これに対し,原告は,原告が被告ツイッタージャパンに対して本件写真の削 除を申し出たところ,現実にこれが削除されたことなどを理由に,被告ツイッ タージャパンも発信者情報を保有し,又は発信者情報を開示する権限を有する 旨主張する。

しかし,原告の指摘する諸事情を考慮しても,被告ツイッタージ ャパンは本件における開示関係役務提供者(プロバイダ責任制限法4条1項) である被告米国ツイッター社の補助的な立場にあると認め得るにとどまり,被 告ツイッタージャパンが開示義務を負うと認めるに足りない。

したがって,原告の被告ツイッタージャパンに対する請求はいずれも理由が ない。

ツイッターの保有する発信者情報

ログイン時IPアドレス・タイムスタンプ等

ツイッターは、投稿時(ツイート時)のIPアドレスやタイムスタンプなど通信ログを保有していません。ツイッターが保有しているのは、アカウント開設時及びログイン時のIPアドレスやタイムスタンプなどの通信ログです。

そこで、開設時やログイン時のIPアドレス、タイムスタンプが開示の対象となるかが問題となります。

ツイート(投稿)直前ログイン情報

ログイン情報は責任制限法プロバイダ責任制限法の発信者情報を定める省令の文言に直接妥当しないため、開示を認めない裁判例もありました。

しかし、裁判例は近時、ツイート(投稿)直前のログイン時のIPアドレスやタイムスタンプの開示は認める傾向にあります。

ツイート(投稿)直前ログインについて開示を肯定した裁判例(令和1年12月24日東京地方裁判所民事46部判決(平成29(ワ)33550 号損害賠償等請求事件))の判示部分

4 争点4(ツイート直前ログイン時IPアドレス等が発信者情報に該当するか)について
  ⑴ 原告は,本件アカウント1及び6につき,ツイート1及び6の直前のログイン時IPアドレス等の開示を求めるのに対し,被告は,ログイン時のIPアドレス及びタイムスタンプは,侵害情報の発信行為とは全く別個の行為であるアカウントへのログイン行為に関する情報であるから,「当該権利の侵害に係る発信者情報」(プロバイダ責任制限法4条1項柱書)に該当しないと主張する。
  ⑵ プロバイダ責任制限法4条1項が「権利の侵害に係る発信者情報」と規定し,発信者情報省令4号が「侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス」と規定していて,開示されるべき発信者情報について,権利の侵害や侵害情報に「係る」というように,やや幅をもって規定していることからすれば,侵害情報の発信そのものから把握される発信者情報だけでなく,侵害情報の発信に関連して把握される発信者情報であれば,これを開示することも許容されると解するのが相当である。
 これを本件についてみるに,前記3⑵で述べたとおり,ツイート行為1及び6によって送信されたテキストデータ等は本件写真1及び2に係る原告の同一性保持権の侵害を発生させた侵害情報と評価することができる。そして,ツイッターに投稿(ツイート)するためには特定のアカウントにログインしなければならず,ツイート1又は6は直前における本件アカウント1又は6へのログイン行為によるログイン状態を利用してされたと認められる。これらのことからすれば,上記直前のログインに係る情報は,侵害情報の送信と密接に関連する情報であると評価できる。
 したがって,ツイート1及び6の直前のログインに係るIPアドレス及びタイムスタンプは侵害情報の発信に関連して把握される発信者情報であると認められるべきであり,原告は,被告に対し,別紙発信者情報目録第3記載の各情報の開示を請求することができる。
  ⑶ これに対し,被告は,ツイッターのシステム上,一つのアカウントに対して,複数のログイン状態が競合することは頻繁に発生しており,ツイート行為がその直前のログイン行為によるログイン状態を利用して行われたものであるかどうかは明らかではないから,ツイート行為と直前のログイン行為の関連性は明らかとはいえない旨主張する。
 しかしながら,ツイッターのシステム上,一つのアカウントに対して複数のログイン状態が競合することがあるとしても,本件アカウント1及び6につき,複数のログイン状態が競合する状態が頻繁に発生していると認めるに足りる証拠はなく,被告の指摘は,ツイート行為1及び6の直前のログイン時におけるIPアドレス及びタイムスタンプが,侵害情報の発信に関連して把握される情報であるとの上記認定を左右しない。
 したがって,被告の上記主張には理由がない。

投稿後ログイン情報

しかし、投稿後のログイン情報については、否定的な判断も多くみられます。例えば、最新ログイン情報について否定した裁判例があります。

開設時IPアドレス・タイムスタンプ

ツイッターは、アカウント開設時のIPアドレスを保有しています。

また、開設時のIPアドレスやタイムスタンプについてはあくまで事例に則した判断ではあるものの、否定した裁判例があります。

開設時IPアドレスの開示を否定した裁判例(前掲令和1年12月24日東京地方裁判所民事46部判決(平成29(ワ)33550 号損害賠償等請求事件))

プロバイダ責任制限法及び発信者情報省令の規定文言からすれば,侵害情報の発信そのものから把握される発信者情報だけでなく,侵害情報の発信に関連して把握される発信者情報であれば,これを開示することも許容されると解される一方,侵害情報の発信に関係ない情報は「権利侵害に係る発信者情報」に含まれないと解するのが相当である。

これを本件アカウント1ないし7についてみるに,本件アカウント1におい ては本件写真2に係る原告の公衆送信権を侵害するプロフィール画像設定行為 1が平成29年2月16日に行われているが,ツイッターにおいてはアカウントの開設時にプロフィール画像を必ず設定しなければならないというものでは なく,アカウント利用者が任意の時期にこれを設定・変更できることからすれ ば(甲43,44),プロフィール画像設定行為1がアカウント開設時のログ イン行為とこれによるログイン状態を利用してされたとは限らず,かえって本 件アカウント1は平成27年1月頃に開設されたと認められることからすれば (甲48),プロフィール画像設定行為1がアカウント開設時のログイン状態 を利用して行われたものでないことは明らかである。

同様に,本件アカウント5は平成25年5月頃に開設されたと認められ(甲22),プロフィール画像 設定行為3(平成29年3月8日)がアカウント開設時のログイン状態を利用 して行われたものでないことは明らかである。本件アカウント4及び6につい ても,プロフィール画像設定行為2及び4が,各アカウント開設時のログイン行為とこれによるログイン状態を利用してされたと認めるに足りる証拠はない。

本件アカウント2,3及び7においては,それぞれ本件写真2又は3に係る 原告の公衆送信権を侵害するツイート2,3及び7が行われているが,これら のツイートが各アカウント開設時のログイン行為とこれによるログイン状態を 利用してされたと認めるに足りる証拠はない。特に,本件アカウント7は,アカウントの開設時期が平成28年11月頃と認められ(甲118),ツイート 7がアカウント開設時のログイン状態を利用してされたものでないことは明らかである。

したがって,本件アカウント1ないし7の開設時のログインに係るIPアドレス及びタイムスタンプは侵害情報の発信に関連して把握される発信者情報とは認められないから,原告は,被告に対し,別紙発信者情報目録第1の2及び1の3記載の各情報の開示を請求することができない。

メールアドレス・SMSアドレス

ツイッターは、ユーザーの氏名及び住所を保有していません。ツイッターは、メールアドレスを保有しています。さらに、SMSアドレスを保有している場合があります。

そこで、ツイッターの投稿から時間が経っている場合など、メールアドレスやSMSアドレスを開示対象とすることも検討できます。特にSMSアドレスからは携帯電話番号を推測できるケースが一般的であるため、SMSアドレスから推測できる携帯電話番号から発信者を特定できる可能性が増します。

SMSアドレスの開示の可否については、近事裁判例が複数あり、肯定例と否定例があります。また、発信者情報開示の制度制定時にメールアドレスに期待した役割を担うものとして、現在議論されている発信者情報開示制度見直しのなかでも、議論の対象として電話番号を含めた明文化も期待されるところです。

ツイッターに対する発信者情報開示・削除のご依頼について

弊所はTwitter/ツイッターに対する発信者情報開示請求を行った業務経験が複数ございますので、もしTwitter/ツイッター上で権利を侵害されていてお困りでしたらお気軽にお問い合わせください。

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