広告法務で問題となる法律は多岐に渡ります。法律専門家である弁護士にご相談いただくことで、広告規制その他の関連法令に違反するリスクを可能な限り無くしていくことが出来ます。
目次
広告規制
独占禁止法、景表法、特商法など扱う商品に限定されず広告を規制対象とする法令を遵守する必要があります。
また、扱う商品・サービスに応じて各業法が広告規制を置いていることが殆どです。例えば、食品を扱う場合は食品衛生法、JAS法、健康増進法、食品表示法などの法令を遵守しなければなりません。
また、事業者又は事業者団体の公正競争規約に参加している場合は、規約の規律に服することになります。さらに地域によって広告を規制する条例が定められている場合は条例にも従う必要があります。
広告規制は、少なくとも①「記載・表示してはいけないこと」、反対に②「記載・表示しなければならないこと」を定めます。
したがって、①「記載・表示してはいけないこと」を記載せず、②「記載・表示しなければならないこと」を確実に記載することが必要になります。
弁護士齋藤理央では、広告もコンテンツの一つと位置付けています。しかしながら、広告は消費者保護や競争法の観点などから、通常のコンテンツよりも多くの法規制・表現規制に服することになります。このようにコンテンツ制作(広告のクリエイティブ)に、より慎重なコンプライアンスが求められるのが、広告関連法務の特徴です。
広告が告知する商品・サービスと法規制
一般的な法規制
景品表示法・特定商取引法・独占禁止法などの一般的な広告規制は、告知する商品・サービスと関わりなく及びます。
特別の法規制
一般的な法規制に加えて、広告表示に特に注意が必要な特別の法規制が及ぶ対象商品・対象サービスが存在します。
例えば、家庭用品品質表示法は、家庭用品に広く法規制が及びます。
また、例えば食品類は表示規制が多様で特に注意が必要な広告分野です。
その他、薬機法、医療法、金融商品取引法、弁護士法などの各種法制度による特定分野の商品・サービスに対する法規制が存在します。
具体的な表示規制(消極的表示規制)例
健康増進法第31条第1項
(誇大表示の禁止)
健康増進法第三十一条 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
2 内閣総理大臣は、前項の内閣府令を制定し、又は改廃しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣に協議しなければならない。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(誇大広告等)
第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
(特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限)
第67条 政令で定めるがんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品又は再生医療等製品であつて、医師又は歯科医師の指導の下に使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、厚生労働省令で、医薬品を指定し、その医薬品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限する等、当該医薬品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。
2 厚生労働大臣は、前項に規定する特殊疾病を定める政令について、その制定又は改廃に関する閣議を求めるには、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない。ただし、薬事・食品衛生審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)
第68条 何人も、第14条第1項又は、第23条の2の5第1項若しくは第23条の2の23第1項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第14条第1項、第19条の2第1項、第23条の2の5第1項、第23条の2の17第1項、第23条の25第1項若しくは第23条の37第1項の承認又は第23条の2の23第1項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
広告と知的財産権法
著作権法・商標法・意匠法・不正競争防止法等、様々な知的財産権規制が問題となります。第三者の知的財産権を侵害する事態は思わぬ不利益を招来しますので確実に避ける必要があります。
個人情報保護法
広告過程で個人情報を取得する場合は、個人情報保護法が問題となります。
広告後の商取引
広告後、契約段階や契約後(商品引渡し後)に、民法、商法、消費者契約法、割賦販売法、PL法など各種契約法などが問題となります。
また、消費者契約法など消費者保護の法的規制が存在しています。
広告の段階と関連する法律
広告は、広告主の意思による、商品・サービスなどの伝播活動です。
#マーケティング戦略 は、 #広告戦略、さらに広告戦略は、#クリエイティブ戦略 と #メディア戦略 に分けて捉えられますが、各段階で様々な法律が問題となります。
— クリエイトする弁護士齋藤理央 (@b_saitorio) February 26, 2019
メディア掲載の場面
掲載するメディアの選別と、折衝が必要になります。また、メディアと広告主を媒介する広告代理店という業種が極めて発展している分野でもあります。メディアは様々ですが、人が多く集まる場所ほど、メディアとして有用であり、翻って高く広告枠を売れることになります。
人が集まる場所は、例えば、駅や役所などの公共の場所であるとか、或いは人気のコンテンツにも高い集客力があります。したがって、人気の高いコンテンツにとって、集客力を換価するために広告枠を販売することは、マネタイズの王道的手法のひとつということが出来ます。
この場面では、広告主とメディアそして広告代理店の相互の契約関係が重要となってきます。
クリエイティブの場面
次に、メディアに掲載する広告は、情報を伝えるために表現されなければなりません。つまり、広告をクリエイトする過程が必要となってきます。
広告は基本的に非人的な情報伝達を旨とするため、各種の法規制に触れない表現を、クリエイティブの段階で実現しておくべきことになります。
したがって、広告のクリエイト過程では、コンテンツのクリエイト過程と同種の問題が生じるほか、表示規制・景品規制・業種ごとの業法の規制、伝達メディア毎の表現・配信規制など各種規制も遵守しておく必要があります。さらに言えば、マーケティング戦略、プロモーション戦略の段階から、各種規制は強く意識される必要があります。
通常のコンテンツのクリエイトと同様に、著作権、知的財産権、肖像権などが問題となるとともに、広告であることから規制がかかり得る景品表示法・特商法・独占禁止法・各種業法などの多くの規制が問題となり得ます。
プロモーション戦略
プロモーションは、販売促進のための活動全般を意味します。
CM、展示会などの種類やプッシュ型やプル型など様々な分類があります。
また、様々なメディアを利用したプロモーションを組み合わせるプロモーションミックスも、今では当たり前の状況となっています。
マーケティングの中のプロモーション
マーケティングは、4つのPに分解して理解されます。商品(プロダクト)、流通(プレイス)、価格(プライス)、そして、プロモーションです。この、4Pのひとつであるプロモーションは、企業や商品、サービスの認知拡大、ひいては販売促進につなげていく行動です。
広告とプロモーション
プロモーションの中でも、広告は中心的なもののひとつです。例えば商業広告は、企業の認知を広める企業広告のほか、商品やサービスを広める商品広告、企業全体ではなく、ただし一つの商品やサービスでもないブランドを広めるためのブランド広告などがあります。
ターゲットと広告
ターゲットによっても広告は分類されています。例えば、消費者を対象とした広告と、企業を対象とした広告などは、掲載媒体などから異なります。マーケティングミックスという考え方のもとで、自社、商品やサービス、ブランドが対象とするターゲットに合わせた媒体やアピール方法を検討する必要があります。
例えば、企業広告は企業の担当者が目をとおすような業界の専門誌などに掲載されることが多いことになります。現在で言えば、業界向けの専門的なウェブサイトなども媒体として有力と思われます。
マーケティングの4Pのうちのひとつ、プロモーション(Promotion)について広告、人的販売、販促、パブリックリレーションなどの様々なチャネルを組み合わせて、プロモーション効果を相乗効果によって増幅しようという試みが、プロモーションミックスです。
プロモーションミックスは、コミニュケーションミックスという場合もあります。
AIDMAとAISIS
プロモーションミックス或いはコミニュケーションミックスは、購買へ至る心理経過に照らして組み立てられます。例えばマス広告で注意や関心を惹き、ウェブサイトで欲求を刺激して行動に至るというプロモーションミックスの例が典型的です。また、現在のプロモーション戦略において、どこがネックとなっているか分析する際にも、心理経過ごとに考察することができます。
AIDMA
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
AISIS
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Search(検索)
- Action(行動、購入)
- Share(共有、商品評価をネット上で共有しあう)
コンテンツと広告
弁護士齋藤理央では、広告もコンテンツの一内容と捉えています。実際にもブランデッドエンターテイメントなどをとおして、文化表現と商業表現の境界はますます曖昧になっています。
実際にも、コンテンツと同じように広告の上には著作権をはじめとした知的財産権が成立し得ます。また、広告をとおした第三者の権利侵害に留意しなければならず、広告によって権利を侵害された場合は適切な相手方を選択して法的措置を採る必要があります。この点は、コンテンツ法分野と対応は大きく異ならないことになります。
弊所は、コンテンツと親和性が高く、コンテンツと法律の問題を重視している弁護士です。広告をとおした紛争についても、お困りの際はご相談ください。
コンテンツとプロモーションミックス
コンテンツを利用したプロモーションにおいても、段階に応じた分析と適切な施作の実施が重要となります。また、各段階ごとに利用するコンテンツアイコンにおける適切な権利処理が必要となります。
また、各段階で業規制を含めた、広告規制、景品規制などの法律規制を遵守する必要があります。きめ細かなプロモーションミックスは、各施策ごとに法的なチェックが必要になるものと思料されます。
ブランディングと商標法
ブランドとは、商品・サービス(役務)の識別力を言います。
ブランドは、他の商品・サービス(役務)との識別を目的として、商品・サービス(役務)と紐づけられた名称・言葉・記号・シンボル・図形・デザイン単独、或いはその組み合わせで構成されます。
例えば、弊所の場合、弁護士齋藤理央が提供する法律サービスが、商品・サービス(役務)の実態にあたり、これを呼称する、例えば事務所名などが、ブランドに識別力を発生させます。或いは、視覚表現によるリーガルインフォメーションの伝達サービス、というサービスの実態に対して付された、リーガルグラフィックという造語が、ブランドに識別力を与える関係にあります。
このような、例えば言葉・名称など、識別機能を有する商品・サービスと紐づけられた標章(※)を保護するのが、商標法です。
※商標法では、「標章」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるものと定義されています(商標法2条1項)。
ブランディングと商標の関係
ブランディングとは、ブランドから世間一般が抱くイメージ(ブランド・イメージ)を、自社の意図するブランドイメージ(ブランド・アイデンティティ)に近づけていく様々なアクションを意味します。
例えば、広告によってブランドの知名度を上げていくことや、プロモーション活動によって、ブランドイメージを形成していくことを言います。
例えば、弁護士齋藤理央として、活動実績や、ウェブサイトの内容によってブラディング活動をしていくような場合です。
コンテンツマーケティングも、ブランドイメージ形成に寄与します。
ブランディングによって形成されるブランドイメージは、標章によって識別されるため、この標章を法的に保護しなければ、形成されたブランドイメージを他社に横取りされる、という事態が生じ得ます。
そのために、ブランディング活動を無駄にしないためにも、自社の商品・役務に標章について商標登録を行い、予めブランドの識別機能を化体する標章を法的に保護しておく必要があります。
商標登録のご相談は弁護士齋藤理央まで
弊所では、実際に商標の出願登録業務の取り扱い実績があります。商標登録出願をお考えの際は、お気軽にお問い合わせください。