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相手に損害を与えた場合も、常に民事上の不法行為責任を負うわけではありません。一定の場合に限定して、国民が国家の救済を待つことなく自らの権利や利益を保護できること、この場合第三者の権利や利益を侵害しても民事上の責任を負わないことが民法上定められています。

民法720条は、国家の救済を待つ猶予がないときに、違法性を阻却する自力救済の場面を規定します。正当防衛、緊急避難については、これが成立した場合不法行為は成立しません。また、明文がない自力救済も判例上、一切否定されているわけではありません。

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    正当防衛

    他社の不法行為から権利や法律上保護される利益を守るためにした加害行為は、これによって第三者の権利や法律上の利益を侵害した場合でも、民事上の不法行為責任を負わない事となっています。第三者は、大元の原因となった不法行為者に対して、損害賠償請求権を行使することで救済が図られています。

    民法720条1項   他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。

    緊急避難

    他人の物、例えば放し飼いのペットや未整備の工作物などから発生する危難を避けるために、放し飼いのペットに噛み付かれそうになったので、叩いて追い払ったり、未整備の工作物が崩れる危険があるため、崩壊の危険のある部分を除去した場合など、緊急避難の要件を満たせば不法行為は成立しないことになります。

    民法720条2項   前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合について準用する。

    自力救済

    明文のない自力救済について、「私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によつたのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない」と判示しています。

    昭和40年12月 7日最高裁第三小法廷判決(昭38(オ)1236号 占有回収等請求事件)   私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によつたのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない。しかしながら、原審認定の本件における事実関係のもとにおいては、右のごとき緊急の事情があるものとは認められず、上告人は法律に定められた手続により本件板囲を撤去すべきであるから、実力をもつてこれを撤去破壊することは私力行使の許される限界を超えるものというほかはない。したがつて、右と同趣旨の見解のもとに、右板囲を実力によつて撤去破壊した上告人は不法行為の責任を免れないとした原審の判断は、正当である。所論は、ひつきよう、独自の見解に基づき原判決を非難するものであつて、採用のかぎりではない。
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