損益相殺(的な調整)
損益相殺とは,不法行為の被害者が損害を受けると同時に利益を得た場合に,その利益を損害賠償額から控除することを言います。
明文の規定はありませんが確立した判例法理として是認されています。
損益相殺を実施するか否かの判断は,当事者間の公平の観点から,不法行為によって得た利益が直接に損害を填補する機能をもつか否か(法的同質性)を基準とするべきとされています。
明文の規定はありませんが確立した判例法理として是認されています。
損益相殺を実施するか否かの判断は,当事者間の公平の観点から,不法行為によって得た利益が直接に損害を填補する機能をもつか否か(法的同質性)を基準とするべきとされています。
損益相殺的な調整
さらに、損益相殺を拡大する概念とも捉えられる概念が登場しています。例えば、最高裁判所平成5年3月24日判決は,「被害者が不法行為によって損害を被ると同時に,同一の原因によって利益を受ける場合には,損害と利益の間に同質性がある限り,公平の見地から,その利益の額を被害者が加害者に対して賠償を求める損害額から控除することによって損益相殺的な調整を図る必要があ」ると,損益相殺(的な調整)に関する判断において,判示しています。
また、「不法行為と同一の原因によって利益を受ける場合には,損害と利益との間に同質性がある限り,公平の見地から,その利益の額を相続人が加害者に対して賠償を求める損害額から控除することによって損益相殺的な調整を図ることが必要なときがあり得る」(最高裁判所大法廷判決平成27年3月4日(平成24年(受)1478号事件))と述べるなど,最高裁判所は現在も損益相殺的な調整による損害額算定の姿勢を維持していると考えられます。
損益相殺的調整の要件は,①不法行為と同一の原因によって利益を受ける場合であり、かつ,②損害と利益との間に同質性があることとされています。そして,②損害と利益の同質性は,給付された利益が本来損害賠償請求権と並立するものではない場合、控除が行われなければ二重利得となるということを意味していると考えられます。
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