警察、検察などの捜査機関が、犯罪の存在を感知したときに、公訴の提起及び公判の維持のために必要な、被疑者及び証拠を発見・収集・保全する手続を、捜査といいます。捜査段階においては、犯罪の嫌疑をかけられている者を被疑者と呼びます。
この被疑者段階の刑事弁護においては、捜査機関による必要かつ相当な制約を超えた人権侵害の発生を防止しながら、検察官と折衝して不起訴などより有利な処分を獲得していくことが第一目標となります。
被疑者段階の刑事弁護においては、そもそも、身体拘束の有無でその対応が大きく変わります。身体拘束がある場合、被疑者は警察署などに逮捕・勾留されていますので、弁護人が被疑者に接見という形で会いにいきます。
さらに接見禁止まで付されている場合は、原則的に弁護人以外は被疑者に会えないことになり外部との交通を基本的に弁護人が担うことになります。
これに対して、身体拘束がない場合は、基本的に被疑者と事務所などで会って打ち合わせをし、検察官などの捜査機関と折衝し、被害者がいる場合は示談交渉を行うなどしてより有利な結果の獲得を目指していくことになります。
身体拘束がある場合は被疑者の行動に大きな制約がかかりますが、身体拘束には厳密な時間制限が定められており、基本的には制限時間内に処分が決定されることになります。これに対して、身体拘束がない場合は処分の決定に時間制限がないため、処分が出るまで比較的時間がかかるケースも見受けられます。
いずれにしても、不起訴など有利な処分の獲得を目指して早期に弁護人をつけることが望まれます。