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情報法は、❶情報の生産・発信、❷流通・媒介、❸受信・消費までの情報の一生を巡る法制度全般を指す法領域です。

インターネット隆盛の昨今、国民の誰もが情報発信の担い手となっています。マスメディアの発展の中で国民が情報の受け手に固定されていた時代が大きく変容しようとしています。また、国民は情報の受け手としても総量が圧倒的に増大した情報の渦の中に置かれています。

この情報の送り手と受け手とを繋ぐのがネットワーク事業者です(放送事業者、電気通信事業者など)。

その中で、情報と法律との関りも一層、重要となってきます。

1 情報の生産・発信

情報の発生や生産の段階で、著作権法をはじめとする知的財産権法は創作性のある情報を保護しています。

情報の生産と知的財産権

情報は、法律の条件を満たす場合、知的財産権法で保護される場合があります。また、国民の情報発信は、原則的に権利として保障されており、その制約は限られた場合にのみ許されます。

著作権法

情報自体は文章や動画、写真など様々な形態をとりますがその表現方法は著作権法の保護の対象となる場合があります。

また、著作権法は複製権や翻案権などを規定して、他者の著作権を侵害する情報の生産自体を、私的利用の範囲など一定の例外を除いて、制限しています。この制限は、著作権が保護する著作物の創作を増加させるための政策的な措置ですが、行き過ぎた制約にならないための調整が重要となってきます。

情報の生産・発信規制

法は、情報発信を時に守り、時に規制します。また、その規制や保護も、一定の情報を指定している場合(児童ポルノ等)から、一般的な規制に当該情報発信が該当する場合(行き過ぎた虚偽広告により詐欺罪が成立する場合等)迄様々です。

もっとも、他者に危害を及ぼすような情報の発信は規制の対象となりときに刑罰によるサンクションの対象となる場合もあります。

例えば、医薬に関する広告規制や、自動ポルノなど有害情報の規制など国民の健康や生活に悪影響の大きい情報について発信が規制、制約されています。

また、知的財産権法のように政策的に情報の創作、発信を規制している法律も存在します。

情報の生産と知的財産権による規制

情報の生産方法について、特許権侵害などの規制を受ける場合があります。特に今後AIなどの情報の自動生成技術がより向上するにつれて、情報生成段階での規制は強まってくるものと推測されます。

他者の著作権やその他の知的財産権を侵害する情報は発信できません。発信した場合は民事・刑事上の責任を負う可能性があります。

著作権法(表現の創作を保護し、また、制約する表現の創作を巡る知的財産権法)

著作権法は複製権や翻案権などを規定して、他者の著作権を侵害する情報の生産自体を、私的利用の範囲など一定の例外を除いて、制限しています。加えて、公衆送信権や頒布権などの定めにより著作権法で保護される情報を流通に置くことを禁じています。この制限は、著作権が保護する著作物の創作を増加させるための政策的な措置ですが、行き過ぎた制約にならないための調整が重要となってきます。

商標法・不正競争防止法等その他の知的財産権

情報発信の標識、ブランドの保護も重要です。ブログ名称や発信者の名前、ドメインなど情報の発信主体を識別する標識について法的な保護を受けられる場合があります。また、商標法など権利保護のために出願登録が必要な知的財産権については、戦略的に権利化の手続きを検討することが有用です。

広告規制

広告を巡っては、消費者保護などの観点からさまざまな法規制があります。もし、法律面で気になることがあれば、専門家に相談することで、トラブルを可及的に防止することができます。

広告規制の例

虚偽広告や誇大広告などの発信は規制されています。一般的な広告規制から、例えば医薬や法律事務など国民の生活に与える影響が大きい特別の業規制まで広告規制が存在しています。

例えば、薬機法上「指定薬物」(※1(薬機法2条15項))の広告は禁止されています(※2)。

※1 中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。以下「精神毒性」という。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)に規定する大麻、覚せヽ いヽ剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)に規定する覚醒剤、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)に規定する麻薬及び向精神薬並びにあへん法(昭和二十九年法律第七十一号)に規定するあへん及びけしがらを除く。)として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。

薬機法2条15項

※2 (広告の制限)
 指定薬物については、医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医薬関係者等(医薬関係者又は自然科学に関する研究に従事する者をいう。)向けの新聞又は雑誌により行う場合その他主として指定薬物を医療等の用途に使用する者を対象として行う場合を除き、何人も、その広告を行つてはならない。

薬機法第76条の5
https://i2law.con10ts.com/archives/3379

刑事法による発信規制

児童ポルノ(※1)やわいせつ物(※2)など原則的に発信が許されない当該情報の発信自体が直接的に規制されている場合があります。

※1 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条2項

※2
1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

刑法第175条(わいせつ物頒布等)1項

名誉肖像など人格権やプライバシー権を侵害する情報

個人の名誉や法人の信用を棄損する情報発信や、肖像権やプライバシー権を侵害する情報発信は許されません。

表現の自由(憲法21条)

憲法に定められた表現の自由は、国民の情報発信を原則的に保障します。したがって、国民が情報の発信について制限を受けるのは、他者の人権を侵害する場面に限られ、原則的には自由に情報を発信する権利が認められます。

2 情報の流通・媒介

特定の情報については、流通に置くことが規制されています。また、情報の流通を媒介する媒介者の責任が問題となる場合もあります。

プロバイダ責任制限法

インターネットにおける情報流通の媒介者、プロバイダ事業者の責任制限について定める法律です。これまで、プロバイダ事業者の媒介責任は広く免責されてきました。しかし、媒介者責任の問題は、現在、徐々に見直しの議論が進むなど、世界的に潮流が変化する潮目の時期に来ています。

電気通信事業法

インターネットにおける情報流通の媒介者たるプロバイダ事業者などを規制する法律です。「電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的」としています。

3 情報の受信・消費

受け手の側を規制している立法例はまれですが、著作権を侵害する情報のダウンロードなど受信規制も存在しないわけではありません。

著作権法によるダウンロード規制

一定の要件のもと、著作権法は著作権を侵害する情報のダウンロード(複製を伴う受信)を禁じています。

児童ポルノの単純所持

「自己の性的好奇心を満たす目的」で、「児童ポルノを所持」する行為は、児童の保護の趣旨で、刑罰によって禁止されています(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条1項)。

消費者の保護

広告、商業情報については、消費者保護の観点から規制されている場合があります。送り手の立場からは、消費者保護の法規制に反する情報の発信が禁止されています。

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