不起訴の種類
検察官は事件の送検を受け、犯罪の成立(実体要件)、訴訟条件(手続要件)など事件が公判に堪え得るかを吟味したうえで、公判請求するか検討し、公判請求をする場合は、公訴提起(刑事訴訟法247条)を行います。
犯罪の成立(実体要件)が確実でない場合(冤罪の場合、人違いの場合など)、訴訟条件(手続要件)が備わっていない場合(公訴時効が経過している場合など)など、検察官が公判を請求すべきでないと判断した場合は、公訴を提起しないことになります(狭義の不起訴)。狭義の不起訴も、不起訴と判断した法的理由により様々な種類があります(罪とならず、嫌疑なし、嫌疑不十分など。事件事務規程参照。)。
そして、日本の法制度においては、仮に、犯罪の成立(実体要件)が明らかであり、訴訟条件(手続要件)も備わっているときでも、必ず起訴すべきものとはされていません(刑事訴訟法248条・起訴便宜主義(これに対して必ず起訴すべきとする法制度を起訴法定主義と言います))。
したがって、犯罪の成立(実体要件)、訴訟条件(手続要件)など有罪の蓋然性が高い事件においても、検察官の裁量で起訴を行わない場合があります(起訴猶予)。
被疑者段階の刑事弁護においては、犯罪の成立を法的に争い狭義の不起訴を目指すのか、法的な争いはせずに被害者と示談を成立させるなどして起訴猶予を得るか判断して、検察官と折衝していくことになります。
不起訴の告知
刑事訴訟法259条は、「検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない」と定めます。
もし広義の不起訴処分を受けた場合は、検察官に不起訴の告知を請求することが出来ます。不起訴の告知の請求を書面で求められた際、検察官は不起訴処分告知書という書面を発行します(事件事務規程)。