被害者参加制度とはどういった制度ですか?
検察官の権限行使に意見を述べ説明を受けられるようになりました
被害者参加制度の導入により,被害者参加人として検察官の権限行使に対して意見を述べ,意見を述べた権限行使に関して説明を受けることができるようになりました。
事例では,被害者参加人が検察官に対して,証人尋問の請求を行うべきだと意見し,検察官はこれに応え,証人尋問を請求することを被害者参加人に説明しています。
もちろん,被害者参加人は意見を述べることができるにとどまり,その意見に対して権限を行使するかしないかは,検察官の裁量次第です。
しかし,法律上明確に「意見を述べ」,「説明を受け」ることができるようになった点で,従来の部外者同然だった立場から被害者の刑事裁判における地位は大きく改善されています。
検察官は,刑事裁判において様々な権限を持っているんだ。その権限行使に対して意見をすることで,刑事裁判に犯罪被害者の意思も反映していくんだね!
さらにワンポイント:条文チェック
刑事訴訟法316条の35は、被害者参加人の検察官に対する意見を述べ、説明を受ける権利を下記のとおり規定しています。
刑事訴訟法第三百十六条の三十五 被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、検察官に対し、当該被告事件についてのこの法律の規定による検察官の権限の行使に関し、意見を述べることができる。この場合において、検察官は、当該権限を行使し又は行使しないこととしたときは、必要に応じ、当該意見を述べた者に対し、その理由を説明しなければならない。
上記条文の「当該権限を行使し又は行使しないこととしたとき」という表現からあきらかなように,検察官は当該権限を行使し又は行使しないことを被害者参加人の意見を踏まえつつも,裁量で決定できます。
また,検察官は,「当該権限を行使し又は行使しないこととしたときは…その理由を説明しなければならない」とされていますが,その前に,「必要に応じ」という限定が付されています。
したがって,説明を行うか行わないかも,検察官がその必要性を吟味して決することになります。