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遺棄罪

①保護法益:遺棄罪の保護法益は、生命、身体の安全である。身体の安全については、保護法益とされていないとの見解もある。しかし、重大な身体への危険(後遺症が残る場合など)は、生命侵害と比肩しえ、保護されていると解する。

②行為態様:遺棄罪に該当するのは、「遺棄」ないし、「不保護」である。遺棄と不保護は、場所的移動の有無で区別される。遺棄は作為により被害者を移動させる位置と、行為者が移動する不作為の置き去りに分けて観念できる。もっとも、不作為が処罰されるのは、作為義務が認められる違法性の強い行為に限られる。したがって、217条の「遺棄」には不作為の形態は予定されず、218条の「遺棄」が、真正不作為犯として、不作為により置き去りを予定していると解される。
注1)遺棄を場所的移動の有無で区別せず、作為が遺棄であり、不作為が不保護とする見解もある。
注2)遺棄の意味が異なるのを嫌い、217条も218条も不作為を含んだ遺棄概念を規定しているとする見解もある。

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