証拠調べ手続
民事訴訟法は第2編「第一審の訴訟手続」第4章「証拠」において、証人尋問(第1節)、当事者尋問(第2節)、鑑定(第3節)、書証(第4節)、検証(第5節)という項目を設けています。
証人尋問・当事者尋問
原告・被告等の当事者及び、訴外の証人から、原則的に法廷において、証言をしてもらい、当該証言を証拠とします。申出の際は、尋問事項書を提出する必要があります。
当事者尋問においては、証人尋問のルールが多く準用されています(民事訴訟法210条・民事訴訟規則127条)。
(証人尋問の申出) 民事訴訟規則第百六条 証人尋問の申出は、証人を指定し、かつ、尋問に要する見込みの時間を明らかにしてしなければならない。 (尋問事項書) 同第百七条 証人尋問の申出をするときは、同時に、尋問事項書(尋問事項を記載した書面をいう。以下同じ。)二通を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。 2 尋問事項書は、できる限り、個別的かつ具体的に記載しなければならない。 3 第一項の申出をする当事者は、尋問事項書について直送をしなければならない。 (証人尋問の規定の準用・法第二百十条) |
鑑定
鑑定人の検定結果を鑑定意見として、証拠とします。申出には書面の提出が必要になります(下記参照)。
(鑑定事項) 民事訴訟規則第百二十九条 鑑定の申出をするときは、同時に、鑑定を求める事項を記載した書面を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。 2 前項の申出をする当事者は、同項の書面について直送をしなければならない。 3 相手方は、第一項の書面について意見があるときは、意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。 4 裁判所は、第一項の書面に基づき、前項の意見も考慮して、鑑定事項を定める。この場合においては、鑑定事項を記載した書面を鑑定人に送付しなければならない。 (鑑定のために必要な事項についての協議) |
書証(文書)
民事訴訟の中でも、中心的な証拠方法となります。原則的に原本の取り調べが求められますが、相手方が原本の存在と成立を争わない場合は、写しを原本に代えて取り調べることが許容されます。
また、文書の原本がどうしても提出できないときは、文書原本の写しをもって、当該文書原本の存在を報告する文書の原本(いわば、文書原本存在報告書原本)として取り調べるという扱いがなされています。ウェブサイトのプリントアウトも同様に、ウェブサイト自体を取り調べずとも、ウェブサイトのプリントアウト(印刷書面)をもって、ウェブサイトの存在を報告する文書の原本(いわば、ウェブサイト存在報告書原本)として取り調べを行うことができます。
文書の提出には、いくつかのルールが定められています。
(書証の申出等・法第二百十九条) 民事訴訟規則第百三十七条 文書を提出して書証の申出をするときは、当該申出をする時までに、その写し二通(当該文書を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書二通(当該書面を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。 2 前項の申出をする当事者は、相手方に送付すべき文書の写し及びその文書に係る証拠説明書について直送をすることができる。 (訳文の添付等) (書証の写しの提出期間・法第百六十二条) |
文書に準ずる物件
図面、写真、録音テープ、ビデオテープ、その他の情報を表すために作成された物件で文書に該当しないものについて、書証の規定が準用されます(民事訴訟法231条)。
(文書に準ずる物件への準用・法第二百三十一条) 民事訴訟規則第百四十七条 第百三十七条から前条まで(書証の申出等、訳文の添付等、書証の写しの提出期間、文書提出命令の申立ての方式等、提示文書の保管、受命裁判官等の証拠調べの調書、文書の提出等の方法、録音テープ等の反訳文書の書証の申出があった場合の取扱い、文書の成立を否認する場合における理由の明示及び筆跡等の対照の用に供すべき文書等に係る調書等)の規定は、特別の定めがある場合を除き、法第二百三十一条(文書に準ずる物件への準用)に規定する物件について準用する。 (写真等の証拠説明書の記載事項) (録音テープ等の内容を説明した書面の提出等) |
検証
裁判所内に持ち込める「物」などは、検証として取り調べられます。文書も、その内容ではなく形状や筆跡を対象とする場合は検証となります。
ウェブサイトについては、その内容が問題となる場合は、プリントアウトした書面を報告文書の原本とする扱いが一般的です。少なくとも、サイトコンテンツの内容自体が問題となる場合は、プリントアウトした報告文書ないしは電磁的記録媒体として準文書として証拠調べの対象となります。
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