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民事訴訟手続においては、訴状の正本及び副本を提出する、判決書正本を付するなど、正本や副本という概念がよく出てきます。また、書証について原本や写しの別などを証拠説明書に表記するなど原本と写しの峻別も必要になります。

ここでは、民事訴訟でよく問題になる原本や正本、副本の別などを概説しています。

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原本、正本、副本

原本は、文字通り正本、副本の大元になる書面であり、原則的に1通しか存在しないことになります。訴訟提起の際に、原告の手元に残る訴状が原本であり、判決の際に裁判所に保管される判決書が原本です。

正本は、原本の謄本ですが、原本の写しであることには変わりがないので、原本と異なり複数つくることができます。訴訟提起の際に、裁判所に提出する訴状の原本写しが正本であり、判決の際に裁判所に存在する判決書の写しとして当事者に交付されるのが判決書正本です。

副本は、正本の写しです。訴訟提起の際に、相手方に送達される訴状は、裁判所提出用の正本の写したる、訴状副本に当たります。

正本も、副本も写しです。写しの種類としては、基本的に謄本になります。ただし、プライバシーの観点から一部省略されている場合など、一般的に公表される書面は判決書などの場合でも抄本に当たる場合もあります。

原本、謄本、抄本

原本は、元になる文章であり、写しではありません。これに対して、謄本や、抄本は写しです。

謄本は、省略なく元の文章をすべて写した場合を言います。これに対して抄本は、一部省略した、文書全体ではなく、文書の必要な場所、文書の一部だけの写しを言います。

訴訟においては、証拠説明書に提出証拠の原本、写しの別を記載すべきことになります。
また、写しの場合は謄本、抄本の別(写しの種類)も証拠説明書に備考欄などを設けて記載した方がより親切でしょう。

参考)
民事訴訟規則第百三十七条 文書を提出して書証の申出をするときは、当該申出をする時までに、その写し二通(当該文書を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書二通(当該書面を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。   2 前項の申出をする当事者は、相手方に送付すべき文書の写し及びその文書に係る証拠説明書について直送をすることができる。
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