I2練馬斉藤法律事務所

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氏名表示権は著作権法上定められた著作者人格権のひとつで、「著作者と著作物との結び付きに係る人格的利益を保護する」(令和2年7月21日最高裁判決)権利です。

氏名表示権の内容

著作権法19条1項前段は、「著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。」と定めます。

氏名表示権はこのように、著作者が「実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利」を享有すると宣明しています(著作権法19条1項前段)。

「公衆への提供若しくは提示」の意義

令和2年7月21日最高裁判所第三小法廷判決は、「著作権法19条1項は,文言上その適用を,同法21条から27条までに規定する権利に係る著作物の利用により著作物の公衆への提供又は提示をする場合に限定していない。また,同法19条1項は,著作者と著作物との結び付きに係る人格的利益を保護するものであると解されるが,その趣旨は,上記権利の侵害となる著作物の利用を伴うか否かにかかわらず妥当する。そうすると,同項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,上記権利に係る著作物の利用によることを要しないと解するのが相当である」と判示しています。

このように、「公衆への提供若しくは提示」は必ずしも著作権法上支分権として定められた法定利用行為に限られないということが最高裁判所によって判示されています。

2次的著作物に対する氏名表示権

著作権法19条1項後段は、「その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。」と定めます。

氏名表示権はこのように、著作者が「実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利」を2次著作物に対しても享有すると明らかにしています(著作権法19条1項後段)。

氏名表示権の制限

なお、「著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができ」(著作権法19条2項)、また、「著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができ」ます(著作権法19条3項)。

さらに氏名表示権は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用されません(著作権法19条4項柱書)。

1号 行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。

2号 行政機関情報公開法第六条第二項の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物の著作者名の表示を省略することとなるとき。

3号 公文書管理法第十六条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。

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