I2練馬斉藤法律事務所

I2練馬斉藤法律事務所は練馬駅前に所在し、コンテンツと法律の問題や、著作権を中心とした知的財産権やインターネット法に注力しています。

今、発信者情報開示請求の際に問題になっている論点の一つが、ログイン時のアクセス・ログ及びこれにより特定される契約者情報の開示です。本項ではこの、ログイン時のアクセス・ログ及び、これによって特定される契約者情報の開示の問題について述べています。

I2練馬斉藤法律事務所は、発信者情報開示請求訴訟について最高裁裁判例から仮処分まで幅広く対応経験があります。インターネット上の権利侵害で発信者情報開示をお考えの際は、弊所までご相談ください。

    インターネットの権利侵害の場合サイトやSNSアカウントのURLをご記載ください

    ログイン時のアクセス・ログの開示について

    この点については、省令の文言に矛盾があり、5号を縮小解釈するか、8号を拡張解釈するか問題になります。しかし、8号を拡張解釈すべきです。

    省令の条文

    五号

     侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第百六十四条第二項第三号に規定するアイ・ピー・アドレスをいう。)及び当該アイ・ピー・アドレスと組み合わされたポート番号(インターネットに接続された電気通信設備(同法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)において通信に使用されるプログラムを識別するために割り当てられる番号をいう。)

    六号

     侵害情報に係る携帯電話端末又はPHS端末(以下「携帯電話端末等」という。)からのインターネット接続サービス利用者識別符号(携帯電話端末等からのインターネット接続サービス(利用者の電気通信設備と接続される一端が無線により構成される端末系伝送路設備(端末設備(電気通信事業法第五十二条第一項に規定する端末設備をいう。)又は自営電気通信設備(同法第七十条第一項に規定する自営電気通信設備をいう。)と接続される伝送路設備をいう。)のうちその一端がブラウザを搭載した携帯電話端末等と接続されるもの及び当該ブラウザを用いてインターネットへの接続を可能とする電気通信役務(同法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。)をいう。以下同じ。)の利用者をインターネットにおいて識別するために、当該サービスを提供する電気通信事業者(同法第二条第五号に規定する電気通信事業者をいう。以下同じ。)により割り当てられる文字、番号、記号その他の符号であって、電気通信(同法第二条第一号に規定する電気通信をいう。)により送信されるものをいう。以下同じ。)

    七号

     侵害情報に係るSIMカード識別番号(携帯電話端末等からのインターネット接続サービスを提供する電気通信事業者との間で当該サービスの提供を内容とする契約を締結している者を特定するための情報を記録した電磁的記録媒体(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に係る記録媒体をいい、携帯電話端末等に取り付けて用いるものに限る。)を識別するために割り当てられる番号をいう。以下同じ。)のうち、当該サービスにより送信されたもの

    八号

     第五号のアイ・ピー・アドレスを割り当てられた電気通信設備、第六号の携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号に係る携帯電話端末等又は前号のSIMカード識別番号(携帯電話端末等からのインターネット接続サービスにより送信されたものに限る。)に係る携帯電話端末等から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に侵害情報が送信された年月日及び時刻

    整合しない5号等と8号の解釈

    省令5号等は、「侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス」等と、幅を持たせているとも考えられる規定になっています。つまり、侵害情報を送信した際のアイ・ピー・アドレスに限定されておらず、侵害情報と関係しているアイ・ピー・アドレス、すなわち侵害情報が投稿されたアカウントへログインした際のアイ・ピー・アドレスも含まれているように読めます。

    これに対して8号は、「侵害情報が送信された年月日及び時刻」としています。すなわち、侵害情報を送信した際のアイ・ピー・アドレス等と対になったタイムスタンプに限定しているようにも読めるのです。

    そうすると、5号は侵害情報を送信した際に限定せずその他の侵害情報に関係するアイ・ピー・アドレスを開示の対象としていながら、これに対して8号は侵害情報が送信された際のタイムスタンプのみに限定して開示の対象としているように読めます。

    このように、省令5号と8号は、相互に矛盾しているようにも読めます。

    そこで、5号の「侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス」を侵害情報を送信した際のアイ・ピー・アドレスに限定する方向で縮小解釈するか、8号の「侵害情報が送信された年月日及び時刻」を、拡張解釈するかが問題となります。

    この点について、8号を拡張解釈し、「侵害情報が送信された年月日及び時刻」には、侵害情報に関係するアイ・ピー・アドレスが送信された年月日及び時刻などを含んでいると解すべきです。

    なぜなら、そう解さないとTwitterやInstagramなどログイン情報しか保有していないプロバイダに対して発信者の特定が全くできないため、結論として著しく不当だからです。

    また、文理上も「侵害情報が送信された年月日及び時刻」は、「侵害情報(に係るアイ・ピー・アドレスなど)が送信された年月日及び時刻」の意味であり必ずしも侵害情報それ自体が送信された時点を指していると解する必要はないと考えられるからです。

    すなわち、「侵害情報が送信された」というのはあくまで、侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス、侵害情報に係るインターネット接続サービス利用者識別符号、侵害情報に係るSIMカード識別番号が送信された、という意味であって、「侵害情報」は、複数の種類の情報をまとめるために利用されている表現に過ぎないと捉えられます。つまり、「侵害情報が送信された年月日及び時刻」は「侵害情報(に係るアイ・ピー・アドレスなど)が送信された年月日及び時刻」の意味であり、そして、「侵害情報(に係るアイ・ピー・アドレスなど)が送信された年月日及び時刻」には例えば「侵害情報に係るログイン時のアイ・ピー・アドレスが送信された年月日及び時刻」を含んでいる意味に拡張解釈することも、許容されると解されます。

    以上から結論の妥当性と文言上「侵害情報」は、必ずしも侵害情報それ自体をさしていないと解される点から8号を拡張的に解釈することが妥当と思料されます。

    ログイン時のアクセスログから特定される契約者の情報について

    ログイン時のアクセスログについて、IPアドレスを割り当てたインターネットサービスプロバイダの契約者情報などを開示できるかという論点があります。現状、裁判例は判断が分かれているという指摘もありますが、開示例も多く存在します。

    また、投稿後のログイン情報の開示を認める裁判例が複数出されるなど、必ずしも投稿前のアクセスログから特定される契約者情報に限定しない裁判例も出てきています。

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