I2練馬斉藤法律事務所

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審査請求

種苗法上、行政救済手続において、特許法などのような準司法作用たる行政審判手続きの特則はなく一般的な行政不服審査法による審査請求や、処分性のある行政行為に対しては取消訴訟などの行政訴訟を提起することになります。

このように、種苗法上の品種登録出願拒絶処分に対しても行政不服審査法に定められた審査請求を行うことができます。

ところで、種苗法第五十一条1項「品種登録についての審査請求については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十八条の規定は、適用しない」とされ、「処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」と定める行政不服審査法18条の適用は排除されています。

審査請求の審理

種苗法における審査請求の審理については、種苗法51条2項が、「品種登録についての審査請求の審理は、当該品種登録に係る育成者権者又は専用利用権者その他登録した権利を有する者に対し、相当な期間をおいて通知した上で行わなければならない」と定めています。

種苗法と行政訴訟

品種登録処分の取消訴訟

平成27年9月17日 大阪地方裁判所判決(平成26(行ウ)212  異議申立棄却決定取消請求事件)において、「原告は,平成25年11月11日,同日付けの異議申立書(以下「本件異 議申立書」という。甲45)により,本件処分に対して異議申立てをした (以下「本件異議申立て」という。)ところ,農林水産大臣は,平成26年4月21日,本件異議申立てにつき,原告が主張する異議申立ての理由を, 種苗法3条1項1号の明確区別性違反の違法をいうものとして整理した上で, 理由がないとして棄却する旨の決定をし(以下「本件決定」という。本件訴 状添付の決定書),同決定書の謄本は同月24日に原告に送達され」ました。そこで,「原告は,平成26年10月21日,本件決定の取消しを求めて本 件訴えを提起した」という事案です。

大阪地方裁判所は、原告の請求を棄却しています。

なお、行政訴訟としての取消訴訟については、下記記事もご参照ください。

品種登録処分の無効確認訴訟

平成18年12月25日知財高裁判決(平成17(行コ)10001  異議申立棄却決定取消等(原審:東京地方裁判所 平成16(行ウ)278))は、「りんどうの品種改良,生産,販売等を行っている控訴人らが,「芸北の晩秋」という名称のりんどうについて被控訴人がした別紙品種登録(本件処分) に,重大かつ明白な瑕疵が存在すると主張して,本件処分の無効確認を求めた」ものでした。
本件で無効を主張されている「処分は,A及びB(以下「Aら」という。)が,平成11年11月29日, 品種登録の出願をしたのに対して,被控訴人が,C審査官の実施した平成12年1 0月5日の現地調査の結果をふまえて,平成15年3月26日に行った品種登録処分」でした。控訴人らは,「本件処分に無効事由である重大かつ明白な瑕疵があることの理由と して,1本件処分の審査過程に瑕疵(違法)があること,2本件処分により登録さ れた品種(本件品種)は,独立した品種としての区別性,均一性及び安定性(種苗 法3条1項各号)を欠くことを主張してい」ました。

しかしながら裁判所は、無効事由は認められないとして、本件請求を棄却しています。

なお、行政訴訟としての無効確認訴訟については、下記記事もご参照ください。

義務付訴訟

平成29年10月26日 大阪地方裁判所判決(平成29(行ウ)61  品種登録調査等の義務付け請求事件)「は,原告が,登録番号第15866号の品種(以下「本件登録品種」とい い,その登録を「本件品種登録」という。)について,種苗法47条1項に基づく本件 5 登録品種の調査(以下「本件調査」という。)及び同法49条 1 項に基づく本件登録 品種の品種登録の取消しの審査(以下「本件審査」という。)を行うことの各義務付け を求める行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条6項1号の非申請型の義務付けの訴えで」した。

しかし、裁判所は、「種苗法47条1項に基づく本件登録品種に係る登録 品種の調査(本件調査)及び種苗法49条1項に基づく本件登録品種に係る品種登録の取消しの審査(本件審査)」について、「種苗法47条1項に基づく本件調査は,登録品種の特性が保持されているか否かを調査するというにすぎないし,同法49条1項 に基づく本件審査も,品種登録の取消しを行うか否かについての審査にすぎないか ら,それ自体が国民の権利義務に対して直接何らかの影響を及ぼすものではない。つ まり,仮に本件品種登録が取り消されるべきとする原告の主張に理由があるものとし ても,本件調査は,原告が義務付けを求める本件審査の前段階の準備行為にすぎない」とし,「本件審査も,本件品種登録の取消しという処分をするための前段階の準備行為にすぎない」としました。そして、「いずれにせよ,本件調査及び本件審査とも,直接国民の権利義務を形成し 又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえない」として、このように、品種登録の取消しの審査等について処分性を否定し、取消請求を却下しています。

なお、義務付け訴訟一般については、下記もご参照ください。

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