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①賃貸人たる地位の移転の対抗:賃貸人たる地位の移転は、債権的な主張であり、債権譲渡の要件を具備すれば主張可能に思われます。しかし、所有権とともに所有権に伴い移転することで、初めて賃貸人たる地位も移転すると解されるのですから、所有権の移転登記を具備しない限り、主張できないものと解されます。

②債務不履行責任の移転:賃貸人たる地位を譲り受けた場合、前賃貸人が有する債務不履行から生じる解除権も、新賃貸人に引き継がれるものとも思われます。もっとも、賃貸借に基づく解除権は信頼関係が破壊されたと見られない限り、行使できないことになります(最判昭和39年7月28日)。したがって、新賃貸人と、賃借人の間で信頼関係が破壊されたと見られない限り、賃貸借を解除することはできません。

③特約の移転:賃貸人の地位の移転に伴い、特約も従たる権利として移転すると解されます。もっとも、新賃貸人保護のため、特約の存在につき新賃貸人が善意であれば、特約を新賃貸人に主張できない(466条2項ただし書類推適用)との見解もあります。

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