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自動公衆送信に関係する3つのコンピュータ


こちらの記事でも触れた問題点の続きです。

著作物をアップロード元のコンピュータから、アップロードして、サーバーに保存して、サーバーからクライアントコンピュータの求めに応じてクライアントコンピュータに送信し、クライアントコンピュータで著作物を表示する過程に、物凄く簡略化すると、少なくとも3つのコンピュータが関係します。

①アップロード元のコンピュータ

②サーバーコンピュータ

③クライアントコンピュータ

実際には送信過程などずっと多くのコンピュータが関係しますが、理解を容易にするために極めて簡略化すると、この、3つのコンピュータに意識を向けておくことがまずは重要かと思います。

そして、上の3つのコンピュータは、すべて、コンピュータなので、実行するプログラムの名前は違っても、ほぼ似たようなことができます

このことがとても重要な視点だと思う次第です。そして、データコンバイニングやインラインリンクなど、ウェブデータの結合も正確に法的評価を行うにはこの視点が重要なのだと実感しています。まずはここでは画像処理を例に挙げてみたいと思います。

画像の処理を例にした3つのコンピュータの作用

①アップロード元のコンピュータ

①アップロード元のコンピュータでは、画像処理ソフトをつかって画像をトリミングしたり、解像度を調整することが可能です。また、レイヤーごとに画像を重ね合わせて一つの画像データとして保存することも画像処理ソフトでよく行われている事柄です。この場合、調整後の画像データをアップロード元のコンピュータに保存し、保存データをサーバにアップロード(子データの複製)するのが一般的と考えられます。

②サーバー

②サーバーサイドでもモジュールを利用して画像処理が可能です。例えば、大量の画像に同じ処理を施したい場合は、いちいち処理してからアップロードしては非効率なので、サーバーサイドの画像処理が選択される場合があります。

ここでも、トリミングやレイヤー(的に別に保存した)画像の重ね合わせなどの画像処理が可能です。上記のとおり、画像は保存されないため法的な評価が問題になる場面も想定されます。

③クライアントコンピュータ

クライアントコンピュータでも、トリミングなどの画像の処理ができます。例えばCSSが発達して大抵の画像処理はCSSで行えるようになってきました。トリミングや例えばレイヤーごとに分けて保存した画像をCSSで重ね合わせて一つの画像として表示することも可能です。

結論

このように、3つのコンピュータが共通して実行できる事柄があり、どのコンピュータで何が出来るかは、3つのコンピュータを動かしているプログラムが決定する問題です。

そして、3つのコンピュータは大抵似たようなことが出来(あるいは、出来るようになってきており)ます。

そうすると、どのコンピュータで作業させるかは、単純に作業場所の選択の問題になってきます。もっともアップロード元の画像処理は手作業ができるのに対してサーバーやクライアントコンピュータで行う画像処理は遠隔操作なので出来ることが限られる、などの制約は内在します。

このとき、作業が行われたのがアップロード元のコンピュータだから侵害であるとか、クライアントコンピュータであるから侵害でないとか、単純に選択された作業を行う場所の問題に着目して法的な評価を与えるのは、不合理とも考えられます。しかし、単純な作業場の選択の問題という本質が見えにくいため、そうした形式的な観察に陥りがちではないかと感じます。

そうした、作業の場所、という形式的な視点ではなく、作業を行う場所の選択も含めた、全体的な自動公衆送信の過程で実現されていること、実現しようとしている社会的効能を観察して、法的な評価を与えて行くべきというのが、個人的な見解です。

このことは、コンバイニングとして表現しているインラインリンクも含めたテキストデータと非テキストデータの結合の問題においても、個人的には疑問点の本質に関わる問題のひとつだと感じています。その辺りは機会があれば別項ででも論じたいと思います。

 

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