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令和 2年8月31日プロバイダ責任制限法の委任を受けた省令が改正され、『発信者の電話番号』として、電話番号が発信者情報開示の対象となることが明記されました。

では、省令で新たに開示対象として明確化された『電話番号』とは、どのような情報なのでしょうか。

『電話番号』とは

結論として、プロバイダ責任制限法省令の『電話番号』とは、『電気通信番号』に含まれる番号の全部乃至一部の番号をいうものと解されます。

また、電気通信番号のうち、直ちに電話番号と言えるか疑義がある情報については、開示請求の側で電話番号に当たる旨の主張を積極的に行った方がいいものと思料されます。

電気通信番号

電気通信電話番号は、電気通信事業法50条1項本文及関係諸法令に定めがある、「①電気通信役務の提供に当たり、送信の場所と受信の場所とにあり、及びその間を接続する電気通信設備を識別し、又は提供すべき電気通信役務の種類若しくは内容を識別するため」の、「総務大臣が定める番号、記号その他の符号」を言います。

そして、電気通信番号計画には、「ショートメッセージサービス」とは、「移動端末設備間において、電気通信番号を送受信のために使用して通信文その他の情報を伝達するサービス」であるとの記載があります。

これに対して、同じくショートメッセージサービスの通信方式について電子メールに該当することを定めた「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号の通信方式を定める省令」において、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号の総務省令で定める通信方式は、次に掲げるものとする。…携帯して使用する通信端末機器に、電話番号を送受信のために用いて通信文その他の情報を伝達する通信方式」と定められています。

このように、電気通信番号と電話番号が、全部乃至一部共通する概念であることは、法令上も明記されています。

電気通信番号に関する諸法令

電気通信事業法

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=359AC0000000086#424

電気通信番号規則

https://elaws.e-gov.go.jp/search/html/Haisi/409M50001000082_20190522_501M60000008004/409M50001000082_20190522_501M60000008004.html

電気通信事業法施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId=360M50001000025_20191001_501M60000008038

標準電気通信番号使用計画(令和元年総務省告示第7号)

https://www.soumu.go.jp/main_content/000620707.pdf

電気通信番号計画 (令和元年総務省告示第六号)

電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第五十条第一項及び第二項の規定に基づき、電気通信番号計画を次のように定める。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000619849.pdf

参考(関連法令集)

https://www.soumu.go.jp/main_content/000614857.pdf

電話番号は電気通信番号の全部なのか一部なのか

電話番号は、電気通信番号の全部乃至一部と考えられますが電気通信番号=電話番号と言い切れないのは、電気通信番号の中に一部電話番号とするには疑義も生じる番号が含まれているからです。

電気通信番号一覧

固定電話番号

付加的役務電話番号

データ伝送携帯電話番号

音声伝送携帯電話番号

無線呼出番号

特定IP電話番号

FMC電話番号

特定接続電話番号

IMSI

以上の電気通信番号のうち、固定電話番号や音声伝送携帯電話番号が電話番号に当たることはあまり疑義がないものと考えられます。

これに対して、電話番号と記載されているものの通話を予定しないデータ伝送携帯電話番号や、電話番号と明記されていない無線呼出番号などは、『電話番号』に当たるか疑義も生じてくるところです。

また、IMSI(International Mobile Subscription Identity・イムジィ)については既に省令7号が規定されているところと考えられます。

このような点から、電話番号は、電気通信番号の全部乃至一部の番号を指していると理解されます。

もっとも、プロバイダ側から電話番号に当たらないという理解のもと、電話番号として求めた情報に当該情報が該当しないという判断のもと、非保有の答弁がされる恐れはあります。

そこで、データ伝送携帯電話番号などの疑義がある番号については、開示請求者側から電話番号に当たるという主張の元、保有を照会するという流れが望ましいと考えられます。

発信者情報開示業務について

弁護士齋藤理央では、電話番号の開示を含めた発信者情報開示について承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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