I2練馬斉藤法律事務所

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目次

4つの審判制度

審判とは行政権が行う準司法的作用を言います。

特許法は主として以下の4つの審判制度を有しています。すなわち、Ⅰ出願人、特許権者が申し立てる、ⅰ.拒絶査定不服審判、ⅱ.訂正審判及び、Ⅱ.利害関係人が申し立てる、ⅲ.特許無効審判、ⅳ.延長登録無効審判の、4種です。

特許法においては、専門的、技術的事項にかかる右分野において、審判を司法審査の前に置く、行政判断前置の仕組みが採用されています。

そして、審判判断たる行政処分を取り消す、審決取消訴訟の形で、司法手続きに接続することができます。

また、行政不服審査法の規定による審査請求の制限に関する規定が置かれています。すなわち、特許法第百九十五条の四は、「査定、取消決定若しくは審決及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書若しくは第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない」と定め、審査請求を原則的に排除しています。

審判構造

審判は3~5人の合議対で行い、そのうちの一人が、審判長となります。なお、特許庁長官が合議体を構成する審判員を指定することになります。

拒絶査定不服審判および、訂正審判はいずれも、非請求人がおらず、対立構造が生じない査定系審判と呼ばれます。

これに対して、特許無効審判、延長登録無効審判は、(事実上の)利害関係人が特許権者を相手方として申し立てる、一般的な民事訴訟に近い、当事者対立型の審判ということができます。

審判手続

① 審判請求

審判は、審判請求書の提出により開始されます。審判手続も補正ができます(17条1項)。もっとも、審判請求書の補正は、要旨を変更することができません(131条の2第1項)。もっとも、無効審判以外における審判において、請求の趣旨、理由を変更する場合は、要旨変更にいたっても許されます(131条の2第1項ただし書)。

①の2 無効審判請求書

無効審判請求書には、無効を基礎付ける事実を具体的に特定し、証拠との関係を記載しなければなりません。無根審判請求書の趣旨および理由を変更する補正が、要旨に及ぶ場合、審判長は、Ⅰ.ⅰ.訂正請求により補正の必要が生じた場合か、ⅱ.記載が欠けたことに合理的理由があり、被請求人が補正に同意したときは、Ⅱ.審判が遅延しない限りで、補正を許可できます。

②方式審理

審判請求書は一時的にその形式要件を審査されることになります。形式要件が満たされない場合、相当の期間を定めて、補正が命じられます。補正がされない場合、審判は却下されます。また、審判の請求があったときは、審判長は、被請求権者に対して、相当の期間内に答弁書を提出する機会を付与しなければなりませんが、補正が不可能である場合は、答弁書提出の機会を与えずに、請求を却下できます。

③審理方式

当事者系審判は口頭審理を、査定系審判は書面審理を原則とします。審決は対世効を有し、職権主義が採られます。すなわち、審判長は職権で手続を進行し、職権で証拠調べを行い、証拠保全もできます。また、申し立てられていない理由についても審理でき、これに基づいて審決できます。もっともその場合、審理の結果を通知し、相当な期間を指定して、意見申立ての機会を付与しなければなりません。もっとも、請求人が申し立てない趣旨については、審理できません。

④審決

審判長は、審決に熟したとき、審理終結の通知をします。審決は、この通知を発した日から20日以内にされ、審決によって、手続は終了されます。審決に不服があるものは、審決取消訴訟を提起し、訴訟へと進むことになります。審決取消訴訟は、知財高裁の専属管轄とされます。審決取消訴訟は、審決後、30日以内に提起されなければなりません。この期間内に取消訴訟提起がなければ、審決は確定することになります。

拒絶査定不服審判

拒絶査定を受けた出願人は、拒絶査定無効審判を請求できます。出願人が特許を受ける権利を有さないことは、拒絶事由となりますがが、特許を受ける権利が共有にかかるときは、共有者全員で審決を請求しなければなりません。

そして、共有者全員で行った拒絶査定不服審判における拒絶審決の取消訴訟は、固有必要的共同訴訟とされます(最判平成7年3月7日-磁気治療器事件)。事案は実用新案についての事例ですが、特許についても同様に考えることが可能です。

最判平成7年3月7日磁気治療器事件(平成6年(行ツ)83号)

「実用新案登録を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利を目的とする実用新案登録出願の拒絶査定を受けて共同で審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に、右共有者の提起する審決取消訴訟は、共有者が全員で提起することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解すべきである(最高裁昭和五二年(行ツ)第二八号同五五年一月一八日第二小法廷判決・裁判集民事一二九号四三頁参照)。」

「けだし、右訴訟における審決の違法性の有無の判断は共有者全員の有する一個の権利の成否を決めるものであって、右審決を取り消すか否かは共有者全員につき合一に確定する必要があるからである。」

「実用新案法が、実用新案登録を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは共有者の全員が共同で請求しなければならないとしている(同法四一条の準用する特許法一三二条三項)のも、右と同様の趣旨に出たものというべきである。」

拒絶査定不服審判の補正

拒絶査定不服審判を申し立てたとき、30日以内に限り、明細書、クレームなどの補正ができます(17条の2第1項4号)。この場合、最後の拒絶理由通知と同様の制限に服します。この場合、審判に前置いて、審査がされる。補正により、拒絶理由が解消されたかを審査することで、手続を迅速に進める趣旨です。審査官は、補正により拒絶理由が解消された場合、拒絶査定を取消して、特許査定を行います。これ以外の場合は、審査結果を審判の請求について、査定することなく、特許庁長官に報告します。

拒絶査定不服審判の審判対象

拒絶査定不服審判における審判対象は、出願に拒絶事由があるか否かです。審査と、拒絶審査不服審判は、続審の関係にあります。したがって、拒絶査定不服審判においては、拒絶査定にかかる拒絶理由がないと判断されても、他に拒絶事由を見つけたとき、拒絶査定不服審判、請求不成立審決を行えます。もっともこの場合、新たな拒絶理由を通知し、補正、意見書提出の機会を与えなければなりません。拒絶理由が存在しない場合には、拒絶査定を取り消すのみならず、特許をすべき査定も含まれた審決を行います。もっとも、拒絶査定のみを取消して、審査に差し戻す審決もできます。

訂正審判

1.概説

特許権が発生した後においても、クレーム、明細書、図面の記載を訂正することが許されます(特許法126条1項)。審判の請求人は、特許権者です。特許権が共有にかかるときは、権利の変動を生じるため、共有者全員による審判が求められます(132条3項(権利の得喪が決まる、拒絶査定不服審判においても同様))。また、権利の変動を生じるため、実施権者がいる場合は、実施権者の承諾も要求されます(127条)。訂正審判の請求書には、訂正したクレーム、明細書、図面を添付することになります。

2.訂正要件

2−1目的限定

訂正は、クレームの減縮、誤記、誤訳の訂正、不明瞭な記載の釈明を目的とするものに、限定されます(126条1項、目的限定)。目的限定は、17条の2第5項においても求められるが、17条の2第5項1号にいう請求項の削除は、126条1項1号にいう請求項の減縮に含まれていると解されています。

2-2.新規事項追加禁止

また、訂正は、願書に添付した請求の範囲、明細書、図面の限りで行うことができます。請求の範囲を追加できないのは当然として、29条の2の効果なども踏まえて、明細書や図面も、願書の範囲を超える訂正はできません。

2-3.クレーム拡張の禁止

訂正は、請求の範囲の減縮を目的とする場合はもちろん、誤記、誤訳の訂正や、不明瞭な記載の釈明においても、クレームを実質的に拡張し、又は変更するものであってはなりません(126条4項)。この場合の変更には、クレームの縮小的変更は含まれず、拡張ないし、実質的に異なる事項への変更のみが、「変更」概念に当たると解すべきです。

2-4.誤記訂正の場合

以上を踏まえても、誤記の訂正の場合は、表面的には訂正が請求項を拡張し、新規事項の追加に見える場合でも、訂正が誤りであることが明白であり、当業者において、訂正後の範囲を明確に読み取れた場合には、変更ないし、記載事項の範囲内の要件を双方満たすと解されます。なぜなら、そのような訂正により当業者が害されるとはいえないからです。たとえば、「分枝を有するアルキレン基」との表現を、「分岐を有することあるアルキレン基」との表現に変更することは、表面的に請求の範囲を拡張するものです。また、新規事項の追加の要素も含みます。さらに、最初の表現から、当業者において、訂正後の表現を含むことが自明であるとはいえません。以上から、新規事項追加禁止、クレーム拡張禁止の要件を満たさず、許されないことになります(最判昭和47年12月14日-フェノチアジン誘導体製法事件)。

2-5.独立特許要件

さらに、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正を目的とする訂正審判においては、訂正後の請求の範囲から特定される発明が、独立して特許を受けられる発明で無ければなりません(126条5項)。訂正後、本来なら特許権を付与できない発明に特許権が存続することを防ぐ趣旨です。

2-6.消滅と無効

訂正審判は、特許権消滅後も請求できます。しかし、無効とされた場合は、できません。なぜなら、消滅後も存続した期間の特許権侵害など、その権利を争う利益があるが、無効の場合、遡って権利が消失するからです。

2-7.審決

訂正を認めない場合は、請求不成立審決を行います。これに対して、請求を認める場合は請求成立審決を行います。訂正審決は出願時に遡って効力を有し、特許権の内容を変容させることになります。訂正審決に異議のあるものは、訂正後の発明に無効事由があると主張する場合も、訂正自体に違法があると主張する場合も、特許無効審決を請求することになります(123条1項参照)。

3.複数箇所の訂正

複数箇所の訂正が請求された場合、ⅰ.訂正が誤記の訂正のような形式的なものであるときは別として、ⅱ.請求書を補正して、複数の訂正の一部について訂正する趣旨を明確にした場合を除いては、複数箇所の訂正を一体のものとして、訂正を請求していると解するべきです。なぜなら、発明は一個の技術的思想であって、実質的にその意味内容を変更する訂正は、これを不可分一体の訂正と見るべきだからです(最判昭和55年5月1日-耕耘機に連結するトレーラーの駆動装置事件)。
また、このように解さないと、訂正の一部を認め、一部を許さない場合、請求人の意図しない訂正になるおそれがあり、請求人に訂正のイニシアティブ(いわば、特許法における処分権)を揺るがすおそれがあります。反面、不可分一体のものとして、一部の訂正が要件を満たさないとして請求不成立審決をしても、請求権者は後日、請求を取り下げた上で、一部に限定した訂正審判を請求するとか、一部に限定する趣旨の補正を行うとかできます。この場合、請求権者のイニシアティブは守られることになります。

4.無効審決との関係

訂正審判は、無効審判請求に対する対応としてされることがあります。訂正により無効事由を消滅できれば、無効審判は認められません。反面、無効審決が確定すれば、訂正審判を請求することは、できません。

4-1.無効審決の確定と訂正審判

では、特許無効審判と、訂正審判が同時に係属するとき、無効審決が確定した場合、訂正審決はどうなるのでしょうか。この点、特許権消滅後に訂正審判を認める趣旨は、特許権消滅後にも無効審判が認められることに対する対抗措置を認める点にあります。したがって、無効審決確定後は訂正審判を請求できません。しかし、無効審判が確定し、特許権が遡及的に消滅した場合は、もはや、訂正されるべき発明に特許権は存在しえず、訂正審判はその目的を失うことになります。したがって、特許法126条6項ただし書は、無効審判と訂正審判が同時に係属している場合にも、その適用があるというべきです(前掲耕耘機に連結するトレーラーの駆動装置事件参照)。したがって、訂正審判不成立審決取消訴訟係属中に、無効審決が確定した場合は、取消訴訟における訴えの利益が否定されると考えられます。

4-2.訂正審決確定と無効審判

反対に、無効審判係属中に対抗措置としてなされた訂正審判が確定した場合は、無効審判にどのような影響が及ぶのかが問題となります。

4-2-1.無効審判係属中

無効審判係属中に、訂正審決が確定した場合は、訂正審決の遡及効から審判対象は訂正後の発明に変更されます。審判官は、変更された後の審判対象について、請求人、被請求人の双方に、弁論の機会を与え、攻撃防御の機会を付与するべきです。

4-2-2.無効審判成立審決取消訴訟事実審係属中

無効審判成立審決取消訴訟係属中において、同一事実に基づく無効の主張は、他の事実に基づく無効の主張と併せて、訂正後の独立特許要件違反として、訂正後の特許権の特許無効審判で争われることが予定されています(126条6項、123条8号)。これは、訂正後の発明に対して、第1次的な行政機関による審査を経させる趣旨です。したがって、無効審判成立審決は、取り消させれることになります(最判昭和51年5月6日-大経角形鋼管事件)。なお、訂正後の発明について、無効審決の行政機関による審査を経ていないことが実質的な理由とされます。しかし、後掲の高裁判例の論理で行けば、訂正審決において、行政の判断を経ているとも言い得えます。

4-2-3.無効審判不成立審決取消訴訟事実審係属中

上記、大経角形鋼管事件は、無効審判成立審決に対するものであり、無効審判不成立審決について、射程が及ぶものでないと解されます。すなわち、無効審決不成立審決取消訴訟においては、訂正後の発明についても無効事由がないことが、訂正審決における独立特許要件の審査において、行政の審査を経て確定しています。したがって、行政の判断を前置すべき趣旨からも、当然に不成立審決を取消すべきまでもありません。裁判所は、不成立審決取消訴訟においては、訂正後の発明において、審理判断できます(東京高判平成14年11月14日-建築物の骨組み構築方法事件)。

4-2-4.無効審判成立審決取消訴訟上告審係属中

訂正審決が確定し、請求の範囲が減縮された場合には、原審に、民事訴訟法338条1項8号にいう、判決の基礎となった行政処分が、後の行政処分によって、変更された場合にあたります。また、無効審決成立審決取消訴訟において、訂正審決が確定した場合、行政機関による無効審決をもう一度経る必要があるから、取消対象たる成立審決を取消すべきとされます(前掲大経角形鋼管事件)。したがって、原判決を破棄し、審決を取消すべきです(最判平成17年10月18日-包装され含浸されたクリーニングファブリックおよびその製造方法事件)。

5.無効審判と訂正審判の調整

以上のように、無効審判と訂正審判が別々に係属すると、確定の順序により結論が異なるなど、不合理な点が多いことになります。したがって、無効審判手続の中で、訂正審判を請求できる制度などが創出され、無効審判と訂正審判の調整が図られています。

5-1.訂正審判請求の制限

無効審判係属後は、無効審判不成立審決が確定するまでの間、訂正審判を請求できません(126条2項本文)。もっとも、無効審判にもとづく審決取消訴訟係属後90日間は、この限りではありません。取消訴訟係属後は、無効審判内における訂正請求が使えないから、訂正請求の途を開くためです。

5-2.無効審判における訂正請求

そして、無効審判係属中は、被請求者は、無効審判の手続内で、訂正請求を行うことが認められました(134条の2第1項本文)。134条の2第5項で、訂正審判に関する要件が準用されているから、訂正が認められる要件はほぼ同一です。もっとも、不明瞭な表記の釈明を目的とする訂正においては、審判対象が訂正前後を通じて同一であり、その無効は無効審判で審理されるから、独立特許要件は課されません。

5-3.無効審判に基づく審決取消訴訟係属後90日以内の訂正審判

無効審判に基づく審決取消訴訟係属後90日以内に訂正審判を請求した場合、無効審判手続と、訂正審判手続が、競合することになります。そこで、競合から生じる不合理を解消するために、審決を取消して、無効審判に差し戻すことができます。この場合、訂正審判がすでにされていれば、訂正審判は取り下げたものとみなされ、無効審判における訂正請求がされたものとみなされます。また、訂正審判がいまだされていない場合にも、訂正請求が擬制されます。いずれにせよ、無効審判における訂正請求に吸収、解消されることになります。

5-4.調整されない場面

以上によっても、無効審判係属前に訂正審判が係属している場合、裁判所が無効審決取消による差戻し手続を行わない場合、両手続の調整は行われません。この場合、特許庁は無効審判を優先的に審理することになります。また、181条2項により、訂正審決確定後も、無効審決を取消さずに裁判所は審理できるとする見解も主張されるが、裁判例で採用されるに至っていません。

無効審判

いったん付与された特許に瑕疵がある場合、当該特許を遡及的に消滅させるべく、特許無効審判制度が設けられています。無効事由と拒絶事由は大部分共通します。しかし、特許成立後に生じる無効事由は当然、拒絶事由とされていません。また、審査手続の迅速、円滑に資する拒絶事由は、無効事由とされません。無効審判は当事者系審判であり、当事者対立構造を採ります。対立構造の元で、より充実した審理が期待されます。無効審判においては、複数の請求項ごとに、単独で無効審判が可能であり、複数の請求項に対する無効審判のうち、一部を取り下げることもできます。無効審判は特許権消滅後も特許権存続中の侵害に対する損害賠償に対して、請求することが出来ます。審判は、特許の無効を認める請求認容審決と、無効を認めない請求棄却審決があります。複数請求項の一部を無効とする一部認容審決も、あります。無効審決により、特許は効力発生時に遡って消滅します。もっとも、後発的無効事由においては、無効事由が生じたときにさかのぼります。なお、現在は、特許権侵害訴訟において、抗弁として無効主張を行うことが可能となっています(キルビー抗弁)。

無効審判の当事者

①審判請求人

無効審判は、何人でも請求できます(123条2項本文)。無効の特許を存続させておくことは、公益に反するため、法は何人にも請求権を認めました。もっとも、共同出願違反、特許を受ける権利の侵害という、個人の法益を保護する規定の違反については、法益の帰属する利害関係人のみが、請求適格を有することになります(123条2項ただし書)。実施権者については、特許が遡及的に無効となれば、それまでに支払った実施料を、不当利得返還請求できます。したがって、実施権者には、特許無効審判を請求する利益があり、原則として、不争義務を負いません。例外的に、特約により不争義務が認められる場合、無効審判請求が信義則に反する場合に、請求人適格を失うと解されています。利害関係人の解釈に、競業者などを含めて考える見解もあります。しかし、共同出願違反、特許を受ける権利の侵害の場合に限り、利害関係人とされる趣旨と、適合しないといえるでしょう。

②被請求人

無効審判の被請求人は、特許権者です。特許権が共有にかかる場合、全員を共同被請求人としなければなりません。もっとも、請求が認められ、無効審決がされた場合、無効審決取消訴訟を提起することは、単独で可能と解されています(ETNIES商標事件参照)。

一事不再理効

何人も、特許無効審決(成立又は不成立審決)があった場合は、同一の事実および同一の証拠に基づいて無効審決を請求できません(167条)。確定審決に、対世的な一事不再理効を認めていることになります。基準時は、確定審決の登録時であり、これより前に請求がされていた場合、請求は、却下されないことになります。

①客観的範囲

一時不再理効が及ぶ客観的範囲は、同一の事実および同一の証拠の範囲です。したがって、同一請求権者でも、異なる事実、異なる証拠に基づいて、特許無効審判を請求することが、許されることになります。

②主観的範囲

一事不再理効は、対世的に生じることになります。その基準時は、確定審決の登録時です。そして、不成立審決の確定後に、同一事実、同一証拠による特許無効審決が確定した場合、特許権はさかのぼって無効となります。したがって、法的効果に混乱は生じないことになります。これは、一部の審決が確定しても、他の審決が訴訟継続した場合にも同じく解することと、同様の考え方です(最判平成12年1月27日-クロム酸鉛顔料およびその製法事件)。

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