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種苗法の目的

種苗法は、「新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする」法律です(種苗法1条)。

「品種」

品種とは、「重要な形質に係る特性(以下単に「特性」という。)の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をい」います(種苗法2条2項)。

「育成」

種苗法における育成とは、「人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定することをい」います(種苗法3条1項)。

「種苗」

種苗とは、「植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものをい」います(種苗法2条3項)。

品種登録

「次に掲げる要件を備えた品種の…育成者…は、その品種についての登録(以下「品種登録」という。)を受けることができ」ます(種苗法3条1項柱書)。

①「品種登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること」(同項1号)、②「同一の繁殖の段階に属する植物体のすべてが特性の全部において十分に類似していること」(同項2号)、③「繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと」(同項3号)。

品種登録出願

「品種登録を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した願書を農林水産大臣に提出しなければな」りません(種苗法5条1項柱書)。
一 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 出願品種の属する農林水産植物の種類
三 出願品種の名称
四 出願品種の育成をした者の氏名及び住所又は居所
五 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項

品種登録出願の「願書には、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した説明書及び出願品種の植物体の写真を添付しなければなりません(種苗法5条2項)。

品種登録出願の状況は、農林水産省品種登録ホームページで、確認できます。

登録品種の名称について

品種登録出願をする際は、出願品種の名称を記載する必要があります(種苗法5条1項3号)。

「品種登録は、品種登録出願に係る品種(以下「出願品種」という。)の名称が次の各号のいずれかに該当する場合には、受けることができ」ません(種苗法4条1項柱書)。

①一の出願品種につき一でないとき、②出願品種の種苗に係る登録商標又は当該種苗と類似の商品に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき、③出願品種の種苗又は当該種苗と類似の商品に関する役務に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき、④出願品種に関し誤認を生じ、又はその識別に関し混同を生ずるおそれがあるものであるとき(前二号に掲げる場合を除く。)。

育成者権

育成者権は、品種登録により発生します(種苗法19条1項)。育成者権の存続期間は、品種登録の日から二十五年(第四条第二項に規定する品種にあっては、三十年)とされます(同条2項)。

育成者権者は、品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有します(種苗法20条1項)。

この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいいます(種苗法2条5項)。

すなわち、①その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為、②その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)、③その品種の加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前二号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)を、種苗法上、「利用」行為としています。

行政不服申立

特許法など拒絶査定に対して不服審判という特別の行政不服申立手続を持っている知的財産権法と異なり、種苗法上、品種登録出願の拒絶の処分に 対し,特別な不服申立の手続は規定されていません。

そこで、審査請求(行政不服審査法2条)や、取消訴訟を提起することになります。

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