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 相続とはそもそもどういった法律問題なのでしょうか。

日本の国民はそれぞれ不動産や動産、お金などの財産を他人に勝手に奪われないように、(もし勝手に他人が自分の財産にちょっかいをかけてきたら、それをやめさせるように裁判所に求めていけたり、また約束にしたがって財産を渡してくれない場合きちんと財産を渡しなさいと命令してくれるなど)その持ち財産をさまざまな形で国に保護してもらっています。

ところで裁判所が財産を保護したり、約束などにしたがって財産を支払いなさいと命令を行うとき、国民と物との関係や国民と国民との間の関係を整理していく必要があります。きちんと整理しておかないと裁判所は財産をどのように守ってよいかわかりませんし国民も裁判所が財産をどのように守ってくれるかわからなくなってしまいます。

そして、裁判所は国民と物との関係や、国民と国民との関係を整理するとき「権利」と呼ばれる標識を立てて、権利と呼ばれる標識を目印にして国民と物との関係あるいは国民と国民との関係を整理していきます。

不動産や動産など物に対する保護は所有権などの「物権」として、給料を支払ってもらったり、銀行に預けたお金を返してもらったり、家を継続的に借り続ける権利などは「債権」として,ある国民と物との間の関係、あるいはある国民とある国民との間の関係を裁判所が整理して行きます。

このように国民は自分の持ち物や、銀行預金、給与債券など、様々な権利の持ち主として裁判所に認識され自分の財産が他人から奪われそうになったとき裁判所に助けてもらえることを当たり前のこととして、安心して生活を送っています。

ところが、権利の持ち主である国民が死んで居なくなってしまった場合、所有権、銀行預金、給与債券などの種々の権利はどうなってしまうのでしょうか?

前の持ち主は死んで居なくなってしまっていますから、国民と物との間の関係,国民と国民との間の関係を整理しなおさなければなりません。つまり,国が目印として立てている権利と呼ばれる標識を立て直していく必要が生じるのです。

このように国民が死んでしまったときに、権利の帰属先を新たに選び直すための取り決めとその実践のための手続きこそが「相続」と言われる法作用の実態なのです。

このとき、権利の帰属先を選別し直す一番の基準として国が重視しているものは何でしょうか?

それはなにより権利の帰属先であり、財産を守ってもらう立場の国民の意志です。財産を巡る法律において大原則とされる、私的自治の原則のもと、ある国民が死んでしまった場合のその国民に帰属していた財産の帰属先の選び直しには、まずは、当事者たる死んでしまった、または新たに財産を受け継ぐ国民の意志を重視すべき態度がとられているのです。

そして、法律は、国民の意志を重視しつつ、国民の意志を国民が表示するときの意思表示の形式については多少の取り決めをしています。したがって、遺言という法廷の書式にしたがって、被相続人としての遺志を遺しておく必要があります。また、財産の帰属先を決定する内容においても、国民の意志を第一としながら若干の制約を設けています。このような制約に従いながら、遺産分割協議などの相続人間の法的手続きが履践されなければなりません。

 

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