iTやコンテンツの法律/知財問題を重視する弁護士です

データーオーダーは様々な保存ファイル・データを、母体となるファイル(原則的にHTMLファイル(拡張子はHTMLではないHTMLファイルもある。))に呼び出して組込む(データセットアップ、データコンバイニング)、あるいは吸収してしまう作用です。

データーオーダーの方法によりファイル単位でも、ファイルの中のデータ単位でも、データオーダーが可能です。

著作権法2条1項7号の2は、「公衆送信」を「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信…を行うこと」と定義しています。

この、「送信…を行なうこと」の意味が即時に明確ではありません。

そこで、無線通信又は有線電気通信など周辺の言葉から読み解いていくこととします。

電気通信事業法2条1号は電気通信を「有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること」と定義しています。

また、有線電気通信法2条1項は、「有線電気通信」を、「送信の場所と受信の場所との間の線条その他の導体を利用して、電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること」と定義しています。

そうすると、送信とは「電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え…ること」と、受信とは「電磁的方式により、符号、音響又は影像を…受けること」と一応整理できそうです。

送信と受信は、送り手側か、受け手側か、つまり、主体から見た現象の見え方に過ぎないとも考えられます。

そして、送り手と受け手の分掌について、さらに厳密な分析が必要と考えられます。

特に「電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること」は、結局ウェブ・インターネットにおいては、データがサーバーからクライアントコンピュータにクローニングされることを意味します。

クローニングされたデータが恒常的に保存(ダウンロード)されるか、非恒常的に保存(キャッシュ)されるか、保存されないかは、送受信形態によりますが、一応、クライアントコンピューターに著作物包含データが一時的にでも再現されないと、著作物が再現されないと考えられます。

次に、送るとは情報などを他の地点に移動させるという意味があります。また、受けるとは向かってくる物をとらえておさめることを意味します。

そうすると、サーバーからクライアントコンピュータへのデータのクローニングが生じた時に、各主体は、クローニング現象を引き起こしたのか、あるいはクローニングされたデータを受け取って納めたのか、評価されることになります。

送信可能化されたデータには大きく3つの送信形態があることになります。

ひとつは、①送信可能化行為になんの行為も介在することなく発生する送信です。①送信可能化行為以外になんらの積極的な行為は介在せずに送信結果が生じます。

もうひとつは、②送信可能化行為の後に、送信可能化行為者の行為が介在して発生する送信です。例えば、送信可能化行為者自身が母体となるhtmlファイルにデータオーダーにより送信可能化されたファイルを呼び出して一体化してクライアントコンピューターに送信し表示するような場合です。

最後に、③送信可能化行為の後に、送信可能化行為者以外の者が介在して発生する送信です。例えば、送信可能化行為者以外の第三者が母体となるhtmlファイルにデータオーダーにより送信可能化されたファイルを呼び出して一体化してクライアントコンピューターに送信し表示するような場合です。

この、②及び③の形態における、送信可能化後の行為をどう評価するかという問題はどうしても残るように感じています。

①形態と、②・③形態の違いは、送信可能化行為の後に、積極的な行為(送信可能化状態のデータを母体となるファイルに組み入れて母体となるファイルを送信する行為)が介在すること、積極的な行為が介在しなければ母体となるファイルをリクエストしたクライアントコンピュータに対して送信可能化データの送信が生じなかった事、つまり、具体的な送信結果(拡大送信)が明らかに生じなかったことです。

特に、③形態における、具体的な拡大された範囲の送信結果に対して、第三者の行為の介在が不可欠だった点をどのように評価するかが問題となるものと思料されます。

TOP