①処分性:処分の取消の訴えとは、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(…以下単に「処分」という。)」の取消を求める訴えを言います(行政事件訴訟法3条2項)。この「処分」の意義が問題となりますが、公権力の主体たる国または公共団体の行為のうち、国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する作用を法律上認められたものをいうと理解されています。
②-①原告適格:取消訴訟(行訴法9条1項)は、「取消を求めるにつき法律上の利益を有する者…に限り、提起…できる」と定められています。「法律上の利益を有する」とは、処分により法律上保護された利益を侵害され、侵害される恐れがあることをいいます。「法律上の利益」は、処分の根拠法規が一般公益に吸収させることなく、個別的利益として保護するものでなければなりません。「法律上の利益」を有さないとして、原告適格を欠く場合、訴えは不適法であり、却下されることになります(行訴法7条、民訴法140条)。
②-②相手方以外の者:処分の「相手方以外の者」が、取消訴訟を提起する場合、行訴法9条2項が適用されることになります。すなわち、裁判所は①-ⅰ.処分の根拠法令のみによることなく、関係法規も参酌しながら、①-ⅱ.形式的な文言によるのでなく、法令の趣旨目的を考慮し、また、②-ⅰ.処分において考慮されるべき利益の内容及び性質をも考慮し、②-ⅱ.処分が根拠法令に違反してなされたときに害される利益の内容、性質、侵害の態様及び程度をも勘案して、法律上の利益の有無を判断することになります。
③訴えの利益:法令の解釈から一般的、抽象的に「法律上の利益」が肯定され、原告適格が認められた場合でも、原告の法的利益が客観的に回復可能でなければ訴えを提起する意味はなく、不適法却下(行訴法7条、民訴法140条)されることになります。もっとも、処分、裁決に効果がなくなったことは、直ちに回復可能な法的利益が失われたことを意味するわけではありません(行訴法9条1項かっこ書)。
④出訴期間:取消訴訟は、「処分又は裁決があったことを知った日から六箇月」提起できる(行訴法14条1項反対解釈)ことになります。「知った」とは、現実に処分、裁決がなされたことを知った日をさします。継続的処分については、侵害認識時説と、侵害終了時説などがあります。侵害を認識したときと解するのが「知った」との文言に適合的であると考えられます。