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画像ファイルの種類

画素数の話を述べていく前に、画像ファイルの形式について、このエントリで述べておきたいと思います。

画像ファイルにはまずベクター形式とラスター形式があります。

ラスター形式は、ピクセル(画素)、つまり点の集りとして記録されたファイルです。昔、ファミコンなどで採用されていたドット絵という形式の画像がありました。ラスター形式はとどのつまり、ドット絵の点の数を増やしたもので、ラスター画像は拡大していくとつまるところ一つの四角い点になります。

これに対してベクター形式は、数式として記録されたファイルです。

写真など複雑な画像はベクター形式で描写しにくいため、ラスター形式の画像が使用されます。フォトショップに代表されるペイント系ソフトがラスター形式なのも、写真などの複雑なグラフィックを扱うソフトの特性上、ラスター形式が適しているからです。

これに対してベクター形式の画像ファイルは数式の集合であるため、大きさを変更しても一部の値を変更して計算をするだけであり、画像の劣化が生じにくいことが大きな特性です。ロゴデザインやイラスト(ベクター形式の代表的なドローソフトであるイラストレーターは、文字通り、イラストなどを作成するためのソフトです。)などに向いた画像形式です。

イラストレーターを代表するドロー系の画像ソフトにはベクター形式が採用されています。また、イラストレーターで作成したベクター形式の画像ファイルをラスター形式に変換すること(ラスタライズ)もできます。

画素数について

画素数は、縦の画素数×横の画素数で算出されます。

解像度は、dpiと呼ばれる尺度で算定され、dpi(ディーピーアイ)は、dots per inchの略称です。また、ppiという尺度も利用されることがあります。ppi(ピーピーアイ)は、pixel per inchの略称です。

ともに、1inchという絶対数のなかにどれだけのドットないしピクセル(画素)を並べられるかを基準に表記した数字になります。

したがって、縦100ピクセルの画像でも、解像度1ppiの場合は縦100インチの画像データになりますし、解像度が100ppiの場合は、縦1インチの画像データになります。

画素数をそのままにして画像を拡大すれば、解像度は下がることになります。ラスター形式の画像データを拡大すると劣化するのは、このためです。例えば、100ppiの画像を1インチで表示しているとき、これを10インチの表示に拡大すれば、解像度は10ppiまで落ちますので、画質は劣化します。

理論的には、1ピクセル×1ピクセルの画像データを、1インチにも100インチにも拡大・縮小できますので、デジタル画像の実寸はピクセル数と解像度が定まらなければ算定できませんし、解像度はピクセル数と実寸が定まらなければ算定できないことになるはずです。

また、画素数は基本的に実寸とは必ずしも関連しない概念なので、画素数は単純に縦×横のピクセル数の積算で算定できることになります。

したがって、商用サイトやアフィリエイトサイトに商品写真や表紙などを挿入する際は,上記画素数を超えてしまえば画像の表示は形式的に著作権法47条の2によっては適法とされないことになってしまいます。

技術的保護手段を施すのは一般的には現実的な選択肢ではないと思われます。その際は、32400画素を超えない範囲の画素数、つまり、例えば正方形であれば180ピクセル×180ピクセルの画像データを利用することになります。

勿論、そもそも著作権者の許諾を得たり、引用要件を満たすなど、別の方法で著作権侵害を回避することもできます。

すでに述べたように、画素数は解像度との関連性で実寸が定まり、実寸と解像度が固定されれば画素数が算定されます。

では、ディスプレイにおいても画素数と実寸、解像度の関係性は同様なのでしょうか。

ディスプレイにおいては、実寸やdpi,ppiなどのインチ単位の解像度ではなく、ディスプレイ解像度を標準として表示される画像の大きさが決まることになります。

たとえば、1280×800など、ディスプレイには解像度が定められています。

したがって、画像のサイズを1280×800ピクセルと指定した場合、1280×800の解像度のディスプレイにおいてはディスプレイ一杯に画像が表示されることになります。

そうすると、ピクセルの持つ意味は、ディスプレイ解像度に依存し、実寸との関係で算定されるdpiやppiなどの解像度は意味を持たないことになると思料されます。

つまり、1280ピクセル×800ピクセルの画像でも、画面解像度が1280×800であれば画面いっぱいに表示され、画面解像度が12800×8000であれば画面の10分の1の大きさで表示されることになります。

逆に、画面解像度以上の解像度は事実上存在し得ないことになります。ところが画像作成ソフトやOS,ウェブブラウザでは、本来のディスプレイ画像解像度を超える画像も縮小表示されることがあります。これは、プログラムによる制御で画像が縮小表示されていることになります。

つまり、画像データの実際の画素数をプログラムが補正して表示しているため、実際の画像データファイルの画素数と、ディスプレイに表示されている画像の画素数が異なる場合があることになります。


グラフィック・リーガル・サービス


たとえば上記画像を右クリックしてプロパティを表示してください。上記画像ファイルのサーバー上のデータサイズは1610ピクセル×1000ピクセル、161万画素ですが、おそらくクライアントコンピューター上は、532×330ピクセル(17万5560画素)と補正されているはずです。この補正は、htmやcssの記述にしたがって、ウェブブラウザがクライアントコンピューターのディスプレイ上に補正して表示した画像の持つ数値です。

つまりアップロードされサーバーに複製された画像データと、クライアントコンピューターのディスプレイ上に表示される画像データの画素数が、ウェブブラウザの補正によって異なっている場合があることになります。

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