CONTENTS

I2練馬斉藤法律事務所リーガルグラフィック東京は豊富なコンテンツをご用意しています

川の法人格

ニュージーランドで川の法人格が認められました。

アマミノクロウサギ訴訟と自然の権利

自然の権利と言うと日本ではアマミノクロウサギ訴訟が有名です。

同判決では、以下の様に述べて、判決文を結んでいます。

ところで、わが国の法制度は、権利や義務の主体を個人(自然人)と法人に限っ ており、原告らの主張する動植物ないし森林等の自然そのものは、それが如何に我 々人類にとって希少価値を有する貴重な存在であっても、それ自体、権利の客体と なることはあっても権利の主体となることはないとするのが、これまでのわが国法 体系の当然の大前提であった(例えば、野生の動物は、民法二三九条の「無主の動 産」に当たるとされ、所有の客体と解されている。注釈民法(7)二七一頁参 照)。したがって、現行の行政訴訟における争訟適格としての「原告適格」を、個 人(自然人)又は法人に限るとするのは現行行政法の当然の帰結と言わなければな らない。もっとも、現行法上でも、自然保護の枠組みとして、いわゆるナショナ ル・トラスト活動を行う自然環境保全法人(優れた自然環境の保全業務を行うこと を目的とする公益法人)の存在が認められており、このような法人化されたもので なくとも、自然環境の保護を目的とするいわゆる「権利能力なき社団」、あるいは 自然環境の保護に重大な関心を有する個人(自然人)が自然そのものの代弁者とし て、現行法の枠組み内において「原告適格」を認め得ないかが、まさに本件の最大 の争点となり、当裁判所は、既に検討したとおり、「原告適格」に関するこれまで の立法や判例等の考え方に従い、原告らに原告適格を認めることはできないとの結 論に達した。しかしながら、個別の動産、不動産に対する近代所有権が、それらの 総体としての自然そのものまでを支配し得るといえるのかどうか、あるいは、自然 が人間のために存在するとの考え方をこのまま押し進めてよいのかどうかについて は、深刻な環境破壊が進行している現今において、国民の英知を集めて改めて検討 すべき重要な課題というべきである。原告らの提起した「自然の権利」(人間もそ の一部である「自然」の内在的価値は実定法上承認されている。それゆえ、自然 は、自身の固有の価値を侵害する人間の行動に対し、その法的監査を請求する資格 がある。こ れを実効あらしめるため、自然の保護に対し真率であり、自然をよく知り、自然に 対し幅広く深い感性を有する環境NGO等の自然保護団体や個人が、自然の名にお いて防衛権を代位行使し得る。)という観念は、人(自然人)及び法人の個人的利 益の救済を念頭に置いた従来の現行法の枠組みのままで今後もよいのかどうかとい う極めて困難で、かつ、避けては通れない問題を我々に提起したということができ る。

小括

この様な考え方が進み、いずれ、日本でも貴重な自然環境に法人格その他の法的保護が与えられる日も、遠くないのかもしれません。

大気汚染防止法

大気汚染防止法は、「工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴うばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し、水銀に関する水俣条約(以下「条約」という。)の的確かつ円滑な実施を確保するため工場及び事業場における事業活動に伴う水銀等の排出を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする」法律です。

大気汚染防止法に基づく損害賠償責任

大気汚染防止法は、健康被害物質の排出による生命または身体への被害について無過失責任を定めています。

(無過失責任)大気汚染防止法25条

1 工場又は事業場における事業活動に伴う健康被害物質(ばい煙、特定物質又は粉じんで、生活環境のみに係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの以外のものをいう。以下この章において同じ。)の大気中への排出(飛散を含む。以下この章において同じ。)により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出に係る事業者は、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。

2 一の物質が新たに健康被害物質となつた場合には、前項の規定は、その物質が健康被害物質となつた日以後の当該物質の排出による損害について適用する。

同法 第二十五条の二

 前条第一項に規定する損害が二以上の事業者の健康被害物質の大気中への排出により生じ、当該損害賠償の責任について民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条第一項の規定の適用がある場合において、当該損害の発生に関しその原因となつた程度が著しく小さいと認められる事業者があるときは、裁判所は、その者の損害賠償の額を定めるについて、その事情をしんしやくすることができる。

(賠償についてのしんしやく)同法 第二十五条の三

 第二十五条第一項に規定する損害の発生に関して、天災その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任及び額を定めるについて、これをしんしやくすることができる。

(消滅時効) 同法第二十五条の四 

第二十五条第一項に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知つた時から三年間行なわないときは、時効によつて消滅する。損害の発生の時から二十年を経過したときも、同様とする。

(鉱業法の適用)同法第二十五条の五 

第二十五条第一項に規定する損害賠償の責任について鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)の適用があるときは、同法の定めるところによる。

(適用除外) 同法第二十五条の六 

この章の規定は、事業者が行なう事業に従事する者の業務上の負傷、疾病及び死亡に関しては、適用しない。