東京の野生動物と法律
東京にも、多くの野生動物が暮らしており、また、山から都心に迷い込むこともあります。このような東京の野生動物についても自然保護の観点などを含んだ鳥獣保護法などの規制が存在します。
弊所では鳥獣保護法などの環境法分野について、ご相談をお受けしています。
練馬駅前の事務所にハクビシンが迷い込み
#ハクビシン #練馬 で #ハクビシンに遭遇 。 後で聞いたら、#練馬駅前 でもたまにいるそうです。 #東京動物シリーズ https://t.co/oJrJRBMWQs pic.twitter.com/0bpNlzXvo8
— 弁護士齋藤理央 (@b_saitorio) August 19, 2018
分布を紹介されいてるページもありました。リンク先の、西武線グループというやつのようです。
— 弁護士齋藤理央 (@b_saitorio) 2018年8月19日
東京の野生動物と鳥獣保護法
目白には狸が住んでいる山があるそうです。
2019年にはイノシシが、2020年6月には鹿が足立区に迷い込んで捕獲されニュースとなりました。
このように、東京都、23区内といっても野生動物が多く住んでおり時に人と共存し、また、迷い込んで問題となることもあります。
では、23区内に住む動物について法的な規制はあるのでしょうか。
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下、鳥獣保護法といいます。)は、鳥獣の捕獲などについて定めた法律です。
鳥獣保護法第二条 この法律において「鳥獣」とは、鳥類又は哺ほ乳類に属する野生動物をいう。
このように、23区内に暮らすハクビシンやタヌキなども鳥獣保護法にいう、鳥獣に該当します。
鳥獣等の捕獲等の原則禁止
ところで、鳥獣保護法は鳥獣の捕獲などについて規制しています。
鳥獣保護法第三章 鳥獣保護管理事業の実施
第一節 鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等の規制
(鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の禁止)
第八条 鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等又は採取等をするとき。
二 第十一条第一項の規定により狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。
三 第十三条第一項の規定により同項に規定する鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をするとき。
このように、特定の例外の場合を除いて一般的に鳥獣の捕獲等又は採取等は鳥獣保護法8条柱書により、禁止されています。
鳥獣の捕獲、卵の採取の許可
例外として、鳥獣保護法9条1項は、「学術研究の目的、鳥獣の保護又は管理の目的その他環境省令で定める目的で鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしようとする者は、…許可を受けなければならない」と定めています。
鳥獣保護法施行規則5条は、鳥獣保護法9条1項の目的について、下記のとおり定めています。
(許可を受けなければならない捕獲等の目的)
第五条 法第九条第一項の環境省令で定める目的は、次に掲げる目的とする。
一 博物館、動物園その他これに類する施設における展示
二 愛玩のための飼養
三 養殖している鳥類の過度の近親交配の防止
四 鵜飼漁業への利用
五 伝統的な祭礼行事等への利用
六 前各号に掲げるもののほか公益上の必要があると認められる目的
そこで、東京の野生動物について例えば愛玩のための飼養、つまりペットとして捕獲する場合は、都知事の許可を受けなければならないことになります。
無許可捕獲・採取の罰則
鳥獣保護法には罰則規定も置かれています。
鳥獣保護法第八十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第八条の規定に違反して狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をした者(許可不要者を除く。)…二号以下略…
よって、東京23区などで野生動物に遭遇した場合も、噛み付いたり人に危害の及ぶ危険があるなど特殊な状況でない限り、そのままそっとしておくべきことになります。