iT、コンテンツ、情報やエンターテイメント分野において生じる法的課題解決を重視しています

企業や事業者の活動においてGoogleマップの重要性が増しています。反面、Googleマップの口コミを悪用した風評被害も発生しています。Googleマップを利用した風評被害対策として、事実無根の誹謗中傷などに対しては、情報の削除や投稿者の特定などが法的に可能な場合があります。風評被害を放置せず、企業イメージやブランドの毀損を最小限に留めることが望ましいでしょう。

Googleマップ上のクチコミで悪い評判や虚偽の評価を書かれるなどして信用毀損などの被害にあった場合、 運営社に発信者情報開示、削除請求などの法的措置をとる事になります。法的措置を実施する場合、原則的に米国グーグル社(Google LLC)を相手方に法的措置を講じる必要があります。

弁護士齋藤理央は、SNS提供事業者などに多いカリフォルニア米国法人に対する発信者情報開示請求の対応実績を幅広く有し、Google LLCに対する法的対応経験も複数あります。

Googlr Map上のクチコミによる虚偽事実の書き込みがあった場合など、GOOGLE,LLC(グーグル・エルエルシー)に対する発信者情報開示、削除請求の仮処分、訴訟など法的措置をご検討中の方は、弁護士齋藤理央にお気軽にご相談ください。

    インターネットの権利侵害の場合サイトやSNSアカウントのURLをご記載ください(任意)

    ※ファイル添付の場合など直接メールをしたい場合は、メールアドレス 『  infoアットマークns2law.jp  』 までご連絡頂くことも可能です。送信の際、アットマークを@に変換してください。

    Googleマップ上の口コミに対する削除請求裁判例

    Googleマップ上の口コミについては発信者情報開示や削除請求などの裁判例が存在します。

    東京高判令和2年12月9日・判例タイムズ1481号70頁

    同裁判例では、発信者情報開示請求は認められていますが、口コミの削除については下記の通り判示して消費者の利益も勘案して、発信者情報開示よりもハードルを上げている点が注目されます。

    インターネットによる情報の流通が発達した現代において、本件投稿記事1ないし3のような業者が営む事業に伴う評価を記載した記事を掲載するサイトは、当該業者と取引等を行うことを検討する者にとって貴重な情報収集の場であり、そこに投稿された記事は有益な情報となり得るのであって、このような記事を掲載するサイトの運営主体に対し、記事の送信差止めを命ずることは、当該記事の投稿者による表現行為を制約するのみならず、読み手から有益な情報を得る機会を奪うことにもつながるものであり、表現行為に対する制約の程度も直接的であるといえる。このことを踏まえると、当該記事による名誉を毀損されたと主張する者の利益と当該記事の表現行為としての利益のいずれが優越するかは、原則として、当該記事の投稿者に対し、当該記事を投稿した目的が専ら公益を図るものであることや摘示事実が真実であることについてまで十分に主張立証を尽くさせた上で慎重に判断すべきものであり(上記サイトの運営主体は、通常、当該記事による名誉毀損につき上記違法性阻却事由が存在するか否かを判断するために必要かつ十分な情報を保有しておらず、この点について適切な主張立証をすることができないことも少なくないと考えられる。)、これをさせることなく送信差止めが認められるのは、投稿者による主張立証を待つまでもなく、前者の利益が後者の利益に優越することが明らかであると認められる場合に限られ、かつ、差止めを認めなければ回復困難な損害が発生するおそれがある場合に限定されると解するべきである(最高裁昭和61年6月11日大法廷判決・民集40巻4号872頁参照)。

    東京高判令和2年12月9日・判例タイムズ1481号70頁

    反面、発信者情報開示に関する違法性判断においては、「権利侵害された者と発信者間の訴訟においては、本来、違法性阻却事由として発信者が主張・立証しなければならないものを、プロバイダ法4条により、発信者情報開示請求訴訟においては、請求原因として権利侵害された者の主張立証責任であると定めたのは、発信者情報が発信者のプライバシーに関する事柄であって、発信者の匿名性を維持しつつ、発信者自身の手続参加を予定していない訴訟構造の中で発信者のプライバシー及び表現の自由の利益と権利侵害された者の権利回復を図る必要性との調和を図るための措置であると解される。したがって、プロバイダ法4条の「権利侵害が明らか」についての解釈においても、権利侵害された者が権利回復を図ることができないような解釈運用がされるべきでないことが前提となっているというべきである(因みに「権利侵害」の中には権利を侵害された者が立証することが難しい発信者の故意過失や責任阻却(真実と信じるにつき相当の事由があること)は入っていないと解釈されている。)」と判示し、さらに「プロバイダ法4条1項が、発信者の匿名性を維持し、発信者自身の手続参加が認められていない手続法の枠組みの中で、発信者の有するプライバシー権や表現の自由等の権利ないし利益と権利を侵害されたとする者の権利回復の利益をどのように調整するかという観点から、前記のとおり権利侵害の明白性の要件が設けられ、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情がないこと、すなわち、違法性阻却事由の不存在が必要であるとされているとしても、この立証責任の転換によって、被害者である控訴人におよそ再度の電話勧誘をすることはなかったという不可能に近い立証まで強いることは相当でない。その意味で、プロバイダ法4条1項で定める「権利侵害が明らか」という要件について、権利侵害された被害者が発信者に対して損害賠償請求をする訴訟における違法性阻却事由の判断と完全に重なるものではないと解され、再勧誘の可能性が全くないことまで請求原因として立証することを要しないというべきである。」と判示して繰り返し発信者情報開示における特殊性を強調しています。

    その上で、同裁判例は削除請求は棄却しながら、一つの投稿に対する開示請求は認容している点で注目されます。

    東京地判令和3年3月5日・判例タイムズ1491号191頁

    東京地判令和3年3月5日・判例タイムズ1491号191頁はGoogleマップ上の口コミに対する削除請求が審理された事案です。

     同裁判例は、「原告による本件記事の削除請求は、本件記事が原告の社会的評価を低下させ、原告の名誉を毀損するものであることを前提とするものであるところ、本件記事が、原告の社会的評価を低下させたといえるかどうかは、一般の閲覧者の注意と読み方を基準として判断すべきである(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁、最高裁平成24年3月23日第二小法廷判決・裁判集民事240号149頁参照)」と述べて、最高裁判所の示している一般論を述べています。
     その上で、同裁判例は、「ウェブサイトにおける病院又は医師についての口コミは、不特定多数の患者が治療を受けるべき病院又は医師を選択するのに資する貴重な情報源であり、他方、そのような不特定多数の患者の生命、身体、健康等を預かる病院及び医師としても、口コミによる自由な批判に対してはある程度受忍すべき立場にあるものというべきである」として、病院、医師に対する口コミについて特殊性を述べて表現の自由に対する配慮を示しています。

     さらに、病院や医師に関する口コミについては、「本件記事が原告の名誉を毀損するというためには、本件記事による原告の社会的評価の低下の程度が受忍限度の範囲を超えるものであることを要すると解するのが相当である」としています。また、その判断に際しては、①「本件サイトのような口コミサイトの閲覧者は特定の記事のみならず他の記事をも閲覧していること」、②「それらの記事には肯定的な評価のものもあれば否定的な評価のものもあり得ること」、③@閲覧者はこれらの記事を総合して情報を得ていると考えられること」などを考慮事情とすべきと述べています。

    東京地判令和3年3月5日・判例タイムズ1491号191頁に対するコメント

    同裁判例は、医師、病院という公共性の強い職業に関する口コミであったことから特に表現の自由に対する強い配慮が認められた事案とも考えられます。弁護士、会計士、税理士などの専門職など消費者の利害に対する影響の大きい職業については、裁判所が同様の配慮を示す可能性もあります。

    東京地判令和4年4月21日・裁判所ウェブサイト掲載

    東京地判令和4年4月21日・裁判所ウェブサイト掲載は、「原告が、被告の評判、評価に関する投稿に対してされた投稿が、原告 の営業上の信用を害する虚偽の投稿であり、不正競争防止法2条1項21号の不 正競争に当たり、また、原告の名誉権の侵害に当たる」と主張して、被告に対して発信者情報開示を請求した事案です。

    本件裁判例では、Googleマイビジネスアカウントを用いてされた返信について、マイビジネスのアカウント保持者の開示関係役務提供者該当性が否定されています。この点、Googleにおけるクチコミ固有の論点として参考になる裁判例と考えられます。

    GOOGLE LLCに対する法的手続に関連した情報発信

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