I2練馬斉藤法律事務所

I2練馬斉藤法律事務所は練馬駅前に所在し、著作権を中心とした知的財産権やインターネット法、損害賠償や刑事弁護、一般民事などを広く取り扱っています。

リツイート事件についてよくいただく質問と、質問に対する回答を原告と相談の上で、公開します。

トリミングはどのような態様だったのか

原告ウェブログで図が掲載されています。ディズニーのキャラクター、サンリオのキャラクター、すずらんの写真が掲載されていました。下記の花の写真のように、すずらんの写真は3枚の写真の3番目の位置にありました。

トリミング前のすずらん(イメージイラスト)

トリミング後のすずらん(イメージイラスト)

開示を請求しているアカウントについて教えて欲しい

アカウント1、2、3、4、5という5つのアカウントについて開示を請求しています。

アカウント1とアカウント2、3、4、5という2つのグループに分かれます。アカウント1とアカウント2、3、4、5は全く関係がないアカウントです。たまたま同じ写真を無断使用したため、一つの訴訟の中で情報開示を請求しています。

アカウント1は侵害写真をプロフィールに設定していました。

アカウント2、3、4、5については、アカウント2が侵害写真をツイートとして元ツイートをしたアカウントです。

アカウント3、4、5がアカウント2の元ツイートをリツイートしました。

訴訟に至る時系列を教えてほしい

2009年6月9日 すずらん写真撮影(滝野すずらん丘陵公園に於いて)

2009年6月19日 すずらん写真インターネット公開

2014年12月中旬 アカウント2による無断元ツイート

2014年12月中旬ころ アカウント3、4、5によるリツイート

2014年12月26日 アカウント2による無断利用発見

2015年1月26日 ツイッターに書面で通知(郵送先はツイッタージャパン)

2015年2月13日 ツイッター側で画像削除

2015年3月25日 情報開示を求めて原告が札幌地裁でツイッター提訴(札幌地裁)。この時、開示請求の対象には同一人物と考えられたリツイートアカウント3、4、5も含まれていた(しかし、後にアカウント3は別人の可能性が高いことが判明。)。

2015年5月21日 Twitterジャパンより答弁書と移送申立書

2015年6月12日 札幌地裁移送決定 審理は東京地裁に移送されるとともに、移送後東京地裁から米国ツイッター社へ訴状送達

2015年10月21日 東京地裁から送達された訴状を受領したツイッターインク(米国法人)より答弁書提出

開示を請求している情報は何か?

メールアドレス及び、IPアドレスとタイムスタンプです。IPアドレス及びタイムスタンプはツイッターが保有していないか最新ログイン時のIPアドレスやタイムスタンプについては請求が棄却されるなどして、裁判所は開示を認めていません。

裁判所が開示を認めたのは、一審東京地裁において、アカウント1、2のメールアドレスです。

控訴審知的財産高等裁判所については、アカウント3、4、5のメールアドレスを加えた、アカウント1、2、3、4、5のメールアドレスの開示を認めています。

そこで、アカウント3、4、5のメールアドレスの開示について開示すべきでないとして上告審で争われていました。

これに対して上告審で最高裁判所は、アカウント3、4、5の開示を命じた控訴審判決を支持し、アカウント1、2、3、4、5のメールアドレスが開示されることになりました。

リツイート者の情報開示を請求した経緯

リツイート者であるアカウント3、4、5の情報開示を請求した元々の経緯は、大元の権利侵害者であるアカウント2と、アカウント3、4、5が同一人物だと考えていたからです。そこで、特定につながる情報は少しでも多い方が望ましいことから、同一人物の異なる手がかりが得られるかもしれないと考えて、アカウント3、4、5の開示を請求していました。

しかし、被告ツイッター社から、アカウント2とアカウント3、4、5が同一人物とは言い切れない(ので、アカウント3、4、5の開示はできない)という反論がありました。

この反論をされると、アカウント2、3、4、5がどこの誰かをこれから突き止めようとしている原告側としては如何ともしようがありません。そこで、止む無く、仮にアカウント3、4、5とアカウント2が別人であっても(同一人物と立証できなくても)、リツイートでも権利を侵害するため、開示を認めるべきと反論しました。

また、さらに正確に言えば、アカウント2とアカウント3、4、5は同一人物だと想定していましたが、アカウント3、4、5のうちのアカウント3は、アカウント2と本当に別人である可能性が高いことが訴訟の中でわかりました。

そこで、原告側でアカウント3の請求取り下げも検討しましたが、一審の早い段階でツイッタージャパンに対する請求の取下げを行ったところ、これに同意を得られなかった経緯もあり、結局、アカウント3に対する請求も取り下げないまま、訴訟は終了しました。

もっとも、別人の可能性が高いアカウント3に対しては下記のとおり、損害賠償請求をしません。

リツイート者に対しても損害賠償請求するのか

上記の経緯で、アカウント3に対する開示請求は取り下げを検討しているくらいなので、純然たるリツイートアカウントであるアカウント3に対して損害賠償請求をすることは予定していません。

アカウント2とアカウント4及び5は、原告側は同一人物と考えています。したがって、アカウント2とアカウント4及び5を運用していた人物には、特定出来次第、損害賠償請求をします(そもそも損害賠償請求を前提に裁判所に情報開示を認めていただいています。)。

しかし、まず確実に別人であるアカウント3に対しては、損害賠償請求をすることは予定していません。

原告が運営する写真家事務所宝泉堂のブログでも、リツイート者に対する法的措置は予定していないことが宣明されています。

あくまで、賠償を請求するのは、元ツイート者です。そして、原告側は、リツイートしたアカウント4及び5も同一人物である可能性が高いと考えています。

控訴審で認められていた同一性保持権侵害はどうなったのか

同一性保持権侵害については、上告受理決定の際に、民事訴訟法318条3項により上告理由から排除されています(上告理由3の1)。

上告理由から排除されずに残ったのが、氏名表示権侵害(上告理由3の2)でした。

関連記事一覧