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先日明治大学知的財産法政策研究所主催のシンポジウム「知的財産法制と憲法的価値」を拝聴しました。

聴講できなかった方も、アーカイブが後日ウェブサイトに掲載されるということです。また、資料がウェブ上で公開されています。ある程度知的財産権法や憲法の理解が進んでいないと理解が難しい部分もあるかもしれませんが、大変勉強になる内容なので気になる方は確認してみてください。

また、シンポジウムの内容を含めた論文集が既に発売されています。

今回のテーマは、知的財産法制と憲法的価値というアカデミックなもの。しかしながら、例えばインターネット上の著作権侵害などにも直結する視点であり開示請求などの際にも憲法的な主張もしておいた方がいいケースもあります。

しかしながら、議論を拝聴しながら、もし憲法と知的財産権法制の関係についての議論がインターネット著作権法を嚆矢(こうし)として深まるのであれば、やはりプロバイダ責任制限法は大きな障壁となるのではないか、という懸念がよぎらざるを得ませんでした。

個人的にはプロバイダ責任制限法はスタート地点を大きく誤っており、その結果、例えば著作権法を中心としたインターネット知的財産権法制に、本来的な知的財産権法制とは別に似て非なるプロバイダ責任制限法上の知的財産権法制という別の法体系を生み出しているのではないかと個人的には考えています。

この法体系は、実態としては権利者の権利を大きく弱体化する上に、萎縮効果を受ける国民一般から見える法体系としては虚像を生み出し実際より肥大化した拘束性を感得させるため、ある種最悪なものと考えています。本当にいいところがありません。

このままいけば日本ではインターネット知的財産権法制、そして憲法的価値の議論は匿名が原則であるインターネット上の権利侵害の性格と相まってプロバイダ責任制限法に大きく阻害され、裁判例を通してのまともな議論の進展はほとんど期待できないような状況となるのではないかと懸念しています。しかし、皆様の権利がインターネット上で匿名によって侵害された場合、残念ながらプロバイダ責任制限法を利用して開示請求をせざるを得ないことになります。なるべく権利救済を実現できるように工夫したいと思いますのでインターネット上で権利を侵害された際はお気軽にご相談ください。

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