アメブロ・Ameba blog上の権利侵害に対する法的対応(発信者情報開示・送信防止措置)
アメーバブログ(アメブロ・Ameba blog)は、国内最大のブログサービスです。アメーバブログ上に誹謗中傷・名誉毀損や著作権・肖像権など権利を侵害する記事を掲載された場合、どのように対処すべきでしょうか。
目次
アメーバブログ(アメブロ・Ameba blog)の運営会社について
アメーバブログ(アメブロ・Ameba blog)の運営会社は、国内企業である株式会社サイバーエージェント(Cyber Agent)です。
そこで、本記事では、アメーバブログ(アメブロ・Ameba blog)を運営するサイバーエージェント(Cyber Agent)社に対する発信者情報開示及び送信防止措置などの法的対応についてご紹介します。
アメーバブログ(アメブロ・Ameba blog)を運営するサイバーエージェント(Cyber Agent)社が保有する発信者情報
アメーバブログ(アメブロ・Ameba blog)は、メールアドレスさえあれば誰でも開設できるブログサービスです。したがって、通常サイバーエージェント社はブログ開設者の氏名住所を保有していないことになります。
平成28年 3月 8日東京地裁判決(平27(ワ)31143号 プロバイダ責任法4条に基づく発信者情報開示請求事件)は、アメーバブログに投稿された誹謗中傷記事について発信者情報開示が請求された事案です。同事案で被告のサイバーエージェント社は、「被告は,本件各情報のうち,本件発信者の氏名及び住所に係る情報を保有していない」と答弁しています。
上記事案からも分かるとおり通常サイバーエージェント社は氏名住所を保有していないため、サイバーエージェント社が開示に応じない場合、IPアドレスやタイムスタンプなど緊急性の高い情報の開示を求めて仮処分を申し立てるか、メールアドレスの開示を求めて本案訴訟を提起することになります。ただし、昨今のインターネットではメールアドレスから発信者を特定することは困難なケースが多くなっています。
なお、上記事例で裁判所は、「原告は,本件発信者に対し,損害賠償請求をする予定である旨を表明している(弁論の全趣旨)。原告は,本件ブログに係るブログサービスを提供している被告から,本件発信者の電子メールアドレス,本件各記事に係るIPアドレス,侵害情報に係る携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号及びタイムスタンプの開示を受け,引き続き経由プロバイダ(本件各記事がパソコンを利用して投稿された場合)又は携帯電話事業者(本件各記事が携帯電話端末を利用して投稿された場合)に対して発信者情報の開示を求めることにより,本件発信者の住所及び氏名の開示を受けることが可能である」と述べて、サイバーエージェント社に対する氏名・住所を除いたメールアドレスやIpアドレス、インターネット接続サービス利用者識別符号、タイムスタンプについての発信者情報開示を命じています。
サイバーエージェント(Cyber Agent)社に対するIP・タイムスタンプなどの開示請求
上述の通りサイバーエージェントは氏名住所を通常保有していないため、サイバーエージェントに対しては、権利を侵害する記事の投稿時点のIPアドレスやタイムスタンプなどの開示を求めて発信者情報開示を請求することになります。
任意の開示請求
サイバーエージェント社は、任意の開示に応じる場合があります。まずは、任意の開示請求をすべきです。
平成20年 9月 9日東京地裁判決(平成20年(ワ)278号発信者情報開示請求事件)は、サイバーエージェントが運営するアメーバブログ(アメブロ)に関して、書き込まれた誹謗中傷の投稿について、NTTdocomo(ドコモ)に対し発信者情報開示がされたケースです。この事例では、 IPアドレスとタイムスタンプだけではなく送信時URLが必要とされました。
すなわち、「原告は,本件書込は原告の名誉や信用を毀損するものであるとして,本件ブログを運営する訴外サイバーエージェントを債務者として,本件書込をした発信者(以下「本件発信者」)に関する情報の開示を求める仮処分命令を申し立てた」ところ、「この第一次仮処分において,訴外サイバーエージェントは,平成19年9月20日,原告に対し,本件発信者の情報として,インターネットに接続された個々の電気通信設備(本件書込を発信したパソコンや携帯電話等,以下「携帯電話等」)を識別するために割り当てられた番号であるIPアドレス(以下「本件IPアドレス」)と,このIPアドレスを割り当てられた携帯電話等から訴外サイバーエージェントの電気通信設備(本件ブログを記録し管理しているウェブサーバ等,以下「サーバ等」)に送信された年月日及び時刻(以下「本件タイムスタンプ」)の情報が別紙「アクセスログ目録」1,2に記載のとおりであることを開示し」ました。
さらに、「インターネット上でIPアドレス等の所有者を検索する専用ソフト(WHOIS)を用いて訴外サイバーエージェントから開示された本件IPアドレスを検索したところ,本件IPアドレス…は,被告が所有しているIPアドレスであり(甲4),本件発信者が訴外サイバーエージェントの管理する本件ブログに本件書込をした際にインターネット接続サービスを提供したプロバイダ(以下「経由プロバイダ」)は被告であることが判明し」ました。
これを受けて,平成19年9月21日,「被告を債務者として発信者情報消去禁止の仮処分命令を申し立てたが(東京地方裁判所平成19年(ヨ)第3654号,以下「第二次仮処分」),被告は,本件IPアドレスと本件タイムスタンプだけでは必ずしも発信者を特定することはできず,本件書込が訴外サイバーエージェントの管理する本件ブログに送信された際のURLも必要であると主張し」ました。
「再び訴外サイバーエージェントを債務者として本件書込がなされた際のURLの開示を求める仮処分…を申し立てたところ,同年12月4日,訴外サイバーエージェントから原告に対して,本件発信者に関するURLとして開示されたものが,別紙「アクセスログ目録」3に記載のとおりのURL(以下「本件URL」)で」した。
そこで、「被告に対して本件IPアドレスと本件タイムスタンプに加えて本件URLを示したところ,被告は,同月5日になってようやく,本件タイムスタンプの日時に,本件IPアドレスを割り当てられた携帯電話等から,被告の通信回線を利用して訴外サイバーエージェントから本件URLを付されて本件ブログに通信を行った者(被告の通信回線を利用した契約者)の住所,氏名等に関する情報を保有していることを明らかにした」という事案です。
このように、サイバーエージェント社は送信URLという発信者情報開示に規定されていない情報についても開示に応じた例があることが伺えます。
法的手続
事案の性質から権利侵害が明らかでないなどとしてサイバーエージェント社が任意の発信者情報開示に応じない場合、仮処分申し立てや本案訴訟(ただし、前記の通り通常氏名住所が保有されていないため、本案訴訟の提起は状況次第ということになります。)を提起することになります。
知る限り、法的手続きは通常それほど長期化しないことが多いと考えられます。
弁護士齋藤理央の発信者情報開示・削除請求業務
弁護士齋藤理央では、インターネット上の権利侵害について発信者情報開示、削除請求の代理業務を取り扱っています。ご相談の際は、お気軽にお問い合わせください。
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