ウェブサイトが単一の著作物となるのか、その場合、著作物として特殊な性質を付与され得るのか、まだ、議論が尽くされたとは言い難い状況です。
いずれにせよ、ウェブサイト、ウェブページを対象として著作物性、特に著作物としての性質が激しく争われた事例というのは、まだないのではないでしょうか。
目次
ウェブサイトの著作物性について
では、言語の著作物、美術の著作物、映画の著作物、建築の著作物、写真の著作物など、例示された著作物と同様に、ウェブサイトの著作物やウェブページ、ブログエントリの著作物、さらにはツイートの著作物という著作物は成立し得るのでしょうか。
著作物の特定には、範囲のほかに時点の問題もでてくるので、そこまで考えるとさらに話がややこしくなりそうです。
— 弁護士齋藤理央 (@b_saitorio) June 7, 2019
著作物は、完成までに刻一刻と変化し、「完成」というのも、たまたま、何らかの理由で区切りとされた時点にすぎず、後日そこからさらに加筆修正されることもあります。
ウェブコンテンツの作品の範囲、著作物としての一個性の問題は、伝統的な媒体よりもさらに、物理的拘束から自由である分、曖昧であると思われます。
ブログのエントリ、ツイッターアカウントのホーム画面など、単一のWebページについて、1個の著作物として、著作物性を判断した事案は知る限りまだ無いと理解しています。
特に個々の素材とページの関係をどうみるかは、色々な考え方がありそうです。
ウェブサイト、ウェブページの著作物性に関する一つの考え方
ウェブサイトは、例えばデータベースの著作物であったり、編集著作物に該当する場合が多いと考えられます。
加えて、単一のウェブページの著作物の性質について、映画の著作物に該当する可能性はないでしょうか。
ウェブページの著作物としての性質を考えていて、表示の原理から導き出されるのが、「ウェブサイト、ウェブページ」=「映画の著作物」という考え方です。
感覚的には違和感があるかもしれませんが、考えの基礎となっているのは、ゲームについても映画の著作物該当性が肯定され得るとされている、現在の判例法理です。
例えば、ときめきメモリアルというゲームが映画の著作物とされています。
そうであれば、今のウェブページの性質から考えるとゲーム同等の性質を備え、映画の著作物に該当する可能性があるように考えられます。
とはいえ、固定性等ハードルもありそうです。
RPGと同じウェブページの原理
ウェブサイト、ウェブページはスクロールして大きなページを閲覧している「ように見え」ます。
RPGゲームも、画面がスクロールして広大な世界を旅している「ように見え」ます。
この原理は基本的に同じで、RPGゲームでは画面の中央に「キャラクター」がアイコンとして表示されているが、ウェブサイトの場合はアイコンが表示されていない、という違いではないかと理解しています。
テストページ
RPGとウェブサイトが同じ原理でスクロールという「仮想」を影像によって表現している点を、わかりやすくしたテストページを作成してみました。
https://rsc.con10ts.com/img/cyo-hiroi_website.php
テストページは、特にスクロールの原理は何も特殊なことをしていない、一般的なウェブサイトです。
テストページの例でわかるように、画面中央にアイコンを配置すればRPGゲームとウェブサイトが同じ原理で、フィールドや、ページの「広さ」を表現していることが理解いただけるかもしれません。
ゲームと映像、動画の違い
映像・動画は、影像的な表現を自動で実現します。これに対して、ゲームは影像的な表現をユーザーの手動操作で実現します。
映像・動画とウェブサイトの違いも同じで、ウェブサイトもユーザーの手動操作による影像表現の発現を予定しています。
そして、ゲームに広範に映画の著作物性が認められている点から、ウェブサイトにも映画の著作物性が肯定される可能性が存在するのではないでしょうか。
RPGゲームと著作物性
中古ゲームソフト事件で #RPG ゲーム が #映画の著作物 と認められています。
— 弁護士齋藤理央 (@b_saitorio) October 25, 2019
頭に浮かぶのは、ドラゴンクエストなど典型的なRPG 。
と思って調べたら、中古ゲームソフト事件のRPGゲームは、 #パラサイト・イヴ なんですね。。。#未プレイ#クリエイトする弁護士とデジタル著作権
ただし、より初期のRPGゲームについても、映画の著作物性を肯定される余地はあり、その意味で、ウェブサイトが映画の著作物に該当する可能性もやはり、0とは言い切れないように思われます。
デジタル著作権法務
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