著作権に関わらず,知的財産権は権利の保護に時間制限がある場合が殆どです。つまり,一定期間を過ぎると権利がなくなり,知的財産に対する法的保護が受けられなくなります。
著作権の保護期間は,著作者の死後50年と法定されています(著作権法51条2項)。
著作物が共同で創作された時は,共同著作者全員の死後,50年間,著作権が残存することになります。
もっとも,著作者が法人や団体などの場合,死というものを観念できません。また,著作物がペンネームで公表されていたり,そもそも,世間的に著作者が誰なのかわからない著作物も存在します。
法人が著作者の場合,著作権は公表後50年間残存します(著作権法53条1項)。また,映画の著作物の場合,公表から70年間権利が存続します(著作権法54条1項)。映画の著作物については,作成にかかる経費や労力が大きいことなどもあって,権利の存続期間が延長されています。
ペンネームなどを用いて世間に知られている変名の著作物や,そもそも著作者が誰なのかわからない無名の著作物についても,公表から50年後に,著作権が消滅することとされています(著作権法52条1項)。なお,ペンネームを用いていても,著作者が世間的に誰であるのか周知の場合は,周知の著作者が死亡してから50年間,著作権が存続します(著作権法52条2項1号)。
死後から50年,公表から50年,70年という期間の経過は,死亡日,公表日などの翌年の1月1日から起算します。そして,同年の12月31日を経過することで,1年が経過したものと計算します(著作権法57条)。たとえば,著作者が1月1日に死亡した場合でも,7月1日に死亡した場合でも,12月31日に死亡した場合でも,50年の経過は,翌年の1月1日からカウントがスタートされます。