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イラストレーションにPIXALOOP(ピクサループ)で炎のエフェクトをつけました。イラストレーションをピクサループで擬似動画化しています。

ワークスアーカイブの記事はこちらです。

https://i2law.con10ts.com/works/2909/

実際のエフェクト付きイラストレーションの動画ファイルはこちらです。

元のイラストレーション

元のイラストレーションは、こちらの事務所広告でも、アイキャッチにも使用しているイラスト画像です。

https://i2law.con10ts.com/archives/works/2909

弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)では、イラストレーションやグラフィックに関連する法律問題を取り扱っています。

デジタル、インターネット上の権利侵害、契約問題などにも対応できますのでイラストなどに関連した法律問題でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

※PIXALOOP−ピクサループとは

ピクサループはスマートフォン用アプリで、スマートフォンに記録等された画像データを、エフェクト処理するなど疑似動画化を実行します。

イラストにエフェクトをつけるほか、写真を動いているように見せることなどができます。

ツイートにあるように、滝を逆流させるなど、アイディア次第でさまざまなエフェクトをつけることができます。

また、PIXALOOP(ピクサループ)に限らず、イラストや写真などにちょっとした動きをつけるアプリケーションは他にもあり、利用されている方も多いのではないかと思います。

エフェクトをつけたイラストと著作物としての分類の問題

ところで、イラストは著作権法上美術の著作物(著作権法10条1項4号)(あるいはイラストによっては図形の著作物に分類される場合もあるかと思います。)として整理するのが一般的です。

ところで、著作権法は、「この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする」と定めています(著作権法2条3項)。

では、PIXALOOP(ピクサループ)など、アプリケーションでエフェクトや動きをつけたイラスト、写真などは映画の著作物に分類されるのでしょうか。

「映画の効果に類似する視覚的…効果」を得たと評価できるかが問題になります。

イラストや写真に、PIXALOOP(ピクサループ)のようなスマートフォンアプリでエフェクトや動きをつけた場合に、美術の著作物に分類されるのか、映画の著作物に分類されるのか、知る限り判断した裁判例はありません。

ゲームに関する映画の著作物性

ゲームが映画の著作物に該当するかは、かつて論争があり、下級審では結論が分かれたこともありました。しかし、現在ではゲームは映画の著作物に該当するという結論が一般的です。

映画の著作物該当性を是認した最高裁判決(平成13(受)952等  著作権侵害行為差止請求事件 平成14年4月25日 最高裁判所第一小法廷 判決( 民集 第56巻4号808頁))の原審たる大阪高裁判決( 平成11(ネ)3484 平成13年3月29日 大阪高等裁判所判決)は映画の著作物該当性について、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を 生じさせる方法で「表現され」ることを求めているのであって、表現の内容たる 「思想・感情」や表現物の「利用態様」における映画との類似性を求めていないと いうべきである(この点は、法二条四項[写真の著作物の定義]が「この法律にい う『写真の著作物』には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作 物を含む」として映画の著作物に関する法二条三項と異なり「製作方法」の類似性 に着目した表現で規定して区分けされていることによっても裏付けられる。)」と述べています。

エフェクト付きのイラストの場合

例えばPIXALOOP(ピクサループ)の場合、ファイルはMOVファイルで、画像を影像として連続再生することによって視覚的に動いているように表現していることは変わらず、まさに映画の効果と同一の視覚的効果を生じさせる方法で表現しているということができます。

すると、上記大阪高裁の考え方を素直に当てはめれば映画の著作物として、保護されるという結論が導かれそうです。

結論に対する疑問

しかし、PIXALOOPなどのアプリによる(ある種擬似的な)動画化が、直ちに著作物の性質を映画の著作物に変容させるという帰結には疑問も生じます。

そもそも、イラストや写真にエフェクトや動きをつけるアプリケーションであり、イラストや写真をよりよくする、より面白くするという、イラスト的、写真的な利用を想定していることや、映画の著作物が予定しているような大規模な人数や経済的な資本投下という背景が全く存在しないことから、映画の著作物という帰結を導くことに、疑念も生じてきます。

映画の著作物性を肯定させない理論構成

では、映画の著作物性を発生させない理論構成としては、どのようなものがあるでしょうか。おそらく、映画の予定している長時間の映像的効果による表現が備わっていないとか、映画ほどの資本投下が全くないとか、社会的、経済的評価を読み込んでいくことになるのだろうと思います。

しかしまさにそれらは、上記最高裁で是認された大阪高裁が排除するべきと宣明している事項のようにも思われます。

そこで、イラストや写真のエフェクトについて、例外的にあまりに映画の著作物の趣旨から離れている場合、社会的、経済的な評価を例外的に読み込んでいくべき何らかの新しい理論づけによる、映画の著作物性の否定という議論も、これから発生してくる場合もあるのかもしれません。

弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)の著作権法務

弊所では広く著作権法務を取り扱っています。

デジタル分野の著作権案件も取り扱い経験が複数ありますので、お気軽にお問い合わせください。

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