約款とは、普通取引約款などと呼ばれ、利用規約や営業規則などと表現されることもあります。約款はいわば、契約の内容の一部であり、特定の事業者がすべての契約に含まれる内容を特に書き出したものであると考えられます。では、このような約款について、法的に効力は認められるのでしょうか。
この点について、わが国では現在、法的効力を当事者の合意を介して認める(つまり上記の通り契約の一内容として法的効力を認める。)アプローチをとっており、また、約款が存在することによって、当事者双方が約款に拠らない意思を表示していない限り、約款を内容とする契約が成立しているものと推定され、推定が覆らない限り契約として法的拘束力をもつと考えられています。約款について、大正4年12月24日大審院判決は、当事者双方が特に特に普通保険約款に依らざるの意思を表示せずして契約したるときは反証なき限りその約款に拠るの意思をもって契約したるものと推定すべき、と判示しています。推定される、というのは、当該約款の内容に合意していることが推定される、ということを意味し、上記判例も述べている通り、当事者の双方乃至一方が合意していないことが反証されることをもって、推定は覆ることになりますが、約款に合意していないことの立証というのは、難しいケースも多いものと考えられます。
このように、約款は存在それ自体がダイレクトに法的拘束力を持つわけではないですが、約款の効力を否定する当事者が、約款に合意していない点の立証に成功しない限り、結果的に法的効力を当事者に及ぼします。
事業者など契約の相手方に約款が存在するとき、或いは自社の側に約款が存在するときは、当該約款の内容も契約の内容に含めて、当事者同士で契約を締結したものと推定され、約款の内容を否定するものが約款の内容に合意していないことを立証できない限り、約款の効力が当事者を拘束することになるわけですから、約款の内容の確認は、契約において重要な意味を持ちます。
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