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文化庁の「クラウドコンピューティングと著作権に関する調査研究報告書」で、クラウドサーバーの公衆用設置自動複製機器該当性が議論されており興味深いです。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hosei/h23_06/pdf/shiryo_4.pdf

著作権法30条1項1号は、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合」を私的使用を適法化する例外として定めています。

また、著作権法119条2項2号は、「営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者」に罰則を定め、刑事罰を課しています。

なお、自動複製機器についての経過措置について定めた著作権法附則第五条の二は、「著作権法第三十条第一項第一号及び第百十九条第二項第二号の規定の適用については、当分の間、これらの規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする」として、コンビニのコピー機のようなものを除外しています。

この規定からは公開されているサーバーも含めて、公衆用設置自動複製機器に該当する可能性がありそうです。また、クラウドロッカーがパスワード設定により公衆用設置に当たらないとしても通常のウェブサーバーは同様の理由で例えば著作権法119条2項2号の適用を免れるのは難しそうです。

しかし、Webサイトを公開しているサーバーは、「専ら文書又は図画の複製に供するもの」として附則5条の2により119条2項2号の適用を排すべきと思料されます(私見)。

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