I2練馬斉藤法律事務所

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著作物のよって立つ単位は、どのように定められるべきでしょうか。

著作権法2条1項1号は、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を、著作物と呼び著作権法の保護客体とすることを定めています。

何が著作物のよって立つ単位であるかを巡っては、作品説と創作的表現説という考え方があります※1

ところで、著作権侵害訴訟などでは、要件事実として「原告に著作権等権利が帰属していること」が原告より主張立証される必要があります。もっとも、原告が著作権を有しているか否かは法律効果の存否に関する主張となります。また、前提として著作物性を主張立証する必要がありますが、そのためには具体的な表現を指摘して、そこに創作性が認められることを主張立証する必要があります。

著作物性の基礎となる表現

すなわち著作物性が肯定されるには、①思想または感情の表現に、②創作性があり、③文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するという各条件を満たすことが必要です。

そして、②と③は評価の問題であり、①「表現」だけが、原告側から事実として主張されることになります。つまり、ある表現が存在していること、その表現がどのような内容か、など表現の存否や内容が原告側から事実として主張されることになります。

このように、「著作物性の存否」自体は、主張された「表現」が創作性という要件を満たすことにより認められる法的評価です。そうであるとしても、著作物性を満たすかどうか判定を受ける表現の存否とその内容については、事実として原告が訴訟に顕出すべきものです。

これに対して、表現の幅を被告が争うことも出来るように思われます。

つまり、例えば本質的特徴の直接感得性独立要件説※2をとったうえで、被告側から防御として表現の幅を広げるような主張がされ、原告から反対にこれを狭めるような主張がされる攻防も想定できないわけではありません。

いずれにせよ、著作物性を判定される表現の存否とその内容の指定が純然たる事実の主張であれば、基本的に弁論主義の第1原則によって、当事者の主張に裁判所が拘束されることになります。

「被告による著作権侵害」を基礎づける表現

「被告による著作権侵害」を基礎づけるには、少なくとも原告の表現と被告の表現に類似性が認められなければなりません。類似性は、両表現に表現の本質的特徴を直接感得できるか否かによって判断されます。

すると「被告による著作権侵害」を基礎づけるには、被告の複製、公衆送信行為など無断で行われた法定利用行為の客体となった、ここでもやはり、「表現」を原告は事実として主張する必要があるように思われます。また、この表現の存否と内容も、被告において範囲を含めて争うことができるように思われます。

著作物のよって立つ表現の範囲

特に、究極的に著作物性が判定されるべきは、原告が主張した原告著作権の客体となっている表現と、被告が各法定利用行為の客体とした表現の共通部分ということになります。そして、原告側の表現と、被告側の表現、さらに両表現の内容と範囲で画される共通する表現部分の範囲は結局すべて、弁論主義のもと当事者の主張する事実としての「表現」の内容によって決定されるということになりそうです。

そうすると、著作物とは結局、最終的には、訴訟において当事者が主張した事実としての表現の内容と範囲をベースに、創作性などの要件を満たすか判定される概念と理解する他ないように思われます。

このように、究極的には著作物のよって立つ単位は、結局、訴訟において当事者から具体的に主張立証された表現の内容と範囲によって画されると捉えるべきように思われます。

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