I2練馬斉藤法律事務所

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スキューバダイビングツアー中の死亡事故とツアー主催社の責任

平成17年 6月 8日大阪地裁判決(平14(ワ)12464号 損害賠償請求事件)は、「旅行会社は,一般に,旅行者との間で締結した主催旅行契約に基づき,旅行者に対し,主催旅行契約に従った交通機関や宿泊,または各種の旅行サービスを旅行者が受けられるよう手配する手配債務及び手配された旅行サービスが予定どおり履行されるよう管理する旅程管理債務を負う」としています。

そのうえで、同裁判所は、「実際に各種旅行サービス(旅行先での企画・サービスを含む。)を提供するのは,旅行会社とは別の営業主体である旅行サービス提供機関であるから,施設の整備・点検,従業員の配置や教育等,旅行サービスを提供するに際して旅行者の安全を確保するための具体的措置をとることは,第一次的には,当該旅行サービス提供機関が負うべき義務である。そして,旅行会社が安全配慮義務違反を問われるのは,旅行会社が旅行サービス提供機関の選定に際して,当該旅行サービス提供機関を選択するのが旅行者の安全確保の見地から明らかに危険であることが認識できたにもかかわらず,これを漫然と選定して,その危険が当該旅行者に発生した場合などに限られると解すべきである」として、ツアー中の事故について、旅行会社が責任を負うべき場合を限定しました。

旅行会社の選定基準に対する評価

旅行会社はツアーに直接関与しないため、ツアーに組み込まれた各種旅行サービス提供機関の選定について、選定方法や選定基準を法的に評価されることになります。

上記裁判例は、上記裁判例で認定された旅行会社の「選定基準及び選定は,ダイビングサービスの運営実態に沿った客観的,実効的かつ現実的な基準であり,ダイビングショップの選定基準として適正かつ妥当なものと評価することができる」と評価しました。そいて、「また,このような基準を満たしている以上,それ以上にダイビング業者の内部的な安全教育の内容・程度,個々のインストラクターの技量・経験の程度,非常事態の際の対応等につき,個々具体的に調査をすることは困難であり…本件事故の発生は認識・予見することができなかったものと言わざるを得ない」と判示して、旅行会社の責任を否定しています。

法令や条例と選定基準

同判例は、「原告らは,沖縄県水上安全条例第18条第2項に基づく安全対策優良事業者の指定基準をもってダイビングショップの選定基準とすべき旨主張するが,原告ら主張の基準は,旅行会社の安全配慮義務違反を基礎づける基準としては抽象的に過ぎ,選定基準としては不適当であるというべきである」としています。

この様に、必ずしも法令や条例などの規定が旅行会社の選定基準に優越するわけではありません。

海外旅行催行中のバス横転事故とツアー会社の責任

平成25年 4月22日東京地裁判決(平21(ワ)21579号 損害賠償請求事件)は,「被告が企画・募集したトルコ共和国(以下,単に「トルコ」という。)における周遊旅行に参加した原告が,同旅行中に発生したバスの横転事故により負傷し,後遺障害が生じるなどの損害を被ったのは,被告の安全確保義務違反によるものであるとして,旅行契約上の債務不履行による損害賠償請求権に基づき,被告に対し,1747万0921円及びこれに対する平成19年2月8日(原告が被告に対し損害賠償の履行を求めた日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め」た事案です。

裁判例は、「被告が…選定した…社は,前記1(9)のとおり,トルコにおいて観光業を行う資格を有し,運送サービスの提供に係る十分な実績を有する会社であったことに鑑みれば,被告に安全な旅行サービス提供機関の選定義務違反があったとも,そのことを原因として本件事故が発生したともいえないことになる。よって,旅行サービス提供機関の選定における安全確保義務違反をいう原告の主張は,理由があるとは認められず,採用することができない」などと述べて、原告の請求を棄却しました。

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