iTやコンテンツの法律/知財問題を重視する弁護士です

信託とは

信託とは、信託契約、遺言、書面又は電磁的記録(同号に規定する電磁的記録をいう。)によってする意思表示のいずれかの方法で特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいいます(信託法2条1項、同条2項参照)。物件的な権利の移転が生じることと、受託者が債権的な義務を受益者、委託者に対して負うことに特徴があります。

著作権と信託契約

信託法は財産の範囲を制限していません。したがって、財産には、著作権もふくまれ、信託契約の対象とすることが出来ます。著作権を信託の対象とすると、著作権は受託者に移転します。そのうえで、信託契約にしたがって受託者が著作権の管理・処分を行いその対価等を受益者に配分します。たとえば、著作権の一部だけを信託することも、可能と考えられます。
著作権と信託契約における有名な例は、音楽著作権管理団体である、一般社団法人音楽著作権協会(JASRAC)等です。なお著作権管理事業においては、信託業法3条における免許の取得が免除されています(著作権等管理事業法26条)が、その反面著作権の処分などまでは許されていません(同法2条1項1号)。

遺言による著作権の信託

信託は遺言によって行うこともできます。たとえば、死後の著作権管理を委ねたい場合など積極的に利用することになるでしょう。遺言信託の利用方法としては著作権の管理を他者(受託者)に委ねて、遺族(受益者)にその利益を配分することなどが考えられます。

著作権信託と登録

著作権を信託によって移転した場合は、その旨を登録しなければ、第三者に対抗できません(著作権法77条柱書・1号)。

コンテンツファンディングと信託契約

コンテンツファンディング(コンテンツのための資金調達)において、信託契約は一つのスキームになり得ます。例えば、ある作品やキャラクターを展開するときにクラウドファンディングなどで不特定多数の一般から資金を調達したとします。この資金を財産として信託契約を締結し、受託者が信託の本旨にしたがって、金銭を運用することが考えられます。もっとも、営利を目的として反復継続して信託財産を引き受ける場合は、信託業法の規制を受けることになるため、信託業法3条の許可を受けたような場合でない限り活用の幅は限られることになります。

TOP