I2練馬斉藤法律事務所

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職務質問

①職務質問と有形力の行使

警職法2条1項は、警察官に一定の要件を満たす者の停止権、質問権を認める。では、この停止権の行使として、有形力の行使は一切認められないのだろうか。この点、有形力の行使が一切認められないとすれば、警察官の職務執行を全うし得ない。したがって、具体的状況のもとにおいて、必要かつ相当な範囲内で有形力の行使も認められると解する。

②-①所持品検査-1

所持品検査の法的根拠:警察官が所持品について検査する行為が広く行われているが、明確な根拠規定がない。したがって、所持品検査が許容されるか問題となる。しかし、所持品検査は職務質問に密接に関連し、職務質問の効果をあげる上で必要かつ有効な行為であるから、職質問に付随して行うことが認められているというべきである。

②-②所持品検査‐2

承諾なき所持品検査:所持品検査は、所持者の承諾を得て行うことが原則である。しかし、流動する警察事象に対して適性迅速に対応しなければならない警察官の職務内容に照らし、承諾なき所持品検査をまったく行えないとすることは、相当でない。したがって、所持品検査を行う必要性、緊急性、所持品検査により侵害される法益と、得られる公共の利益を考慮して、具体的事情のもとで相当と認められる限度においてのみ、承諾なき所持品検査も許容されるものと解する。
注1)なお、判例は、捜索にわたらない行為は強制に至らない限り、所持品検査においても許容されるが、法益侵害を伴うため一定の限界があるとして、上述の規範を定立している。

③-①検問

検問には、特定の犯罪捜査として行われる緊急配備検問(警職法2条1項、刑訴法197条1項)、特定の交通犯罪を検挙、予防するために行われる交通検問(道路交通法61条、63条等)、犯罪一般の予防、検挙を目的として行われる一斉(警戒)検問がある。

③-②一斉(警戒)検問の根拠

では、明確な法的根拠を持たない一斉検問は許容されるか。判例は、「交通の取締」を職務として定めた警察法2条により、許容されるとする。しかし、当該判例は飲酒運転の検挙を企図した検問についてのもので、一斉検問の根拠とはしがたい。そこで、自動車は停車させなければ質問の必要性を判断できないから、職務質問の前提として、警職法2条1項により一斉検問が許容されると解する。

③-③検問の限界

しかし、検問も国民の権利自由に対する干渉に渡るおそれがあり、無制限に許容できるものではない。そこで、公道における自動車利用に伴う当然の負担として、①適当な地域において②外観上の不審に関わらず③短時間の停止を求める場合、④相手方の任意に基づいて行われ、⑤それが利用者の自由を不当に制限しない態様である限りにおいて、一斉検問も許容されると解する。

告訴

①告訴

告訴とは、告訴権者が捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示である。親告罪においては、告訴の有無が訴追条件とされ、国家の刑罰権発動が、国民の処罰感情に左右されるシステムがとられている。

②告訴なき捜査

では、親告罪を告訴なく捜査することが許されるだろうか。この点は、犯罪を親告罪とした趣旨に照らして判断されなければならない。

1.被害者の名誉を保護する趣旨

犯罪が親告罪とされたのが、被害者の名誉を保護する趣旨である場合には、捜査は被害者の名誉を侵害しない範囲において、慎重に行われる必要がある。

2.犯罪の軽さ

犯罪が親告罪とされたのが、犯罪の軽さに基づく場合は、捜査機関が捜査の必要性を感じる以上、捜査できる。

3.政策

法は家庭に入らず、の法政策として親告罪とされた場合は、告訴なく捜査を行うことはその趣旨に反するから、告訴なき捜査は一切許されない。

捜査7.被疑者の防御権

目次1 黙秘権1.1 ①黙秘権2 接見交通権2.1 ①接見交通権2.2 ②接見指定の要件2.3 ③初回接見2.4 ④余罪捜査と接見指定 黙秘権 ①黙秘権 「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」(憲法38条1項)。犯罪を犯した者も、自己が有罪となる供述を、国家に強制されない。なぜなら、そのような供述の強...

捜査6.供述証拠

①取調受忍義務 身体拘束中の被疑者には、取調受忍義務が認められる(198条1項ただし書反対解釈)。注1)黙秘権を侵害するとして取調受忍義務を否定する見解があるが、文理上無理である。 ②余罪取調べ 身体拘束中の被疑者には取調受忍義務が生じる(198条1項ただし書反対解釈)。この取調受忍義務は、逮捕、勾留の効力...

捜査5.近代的捜査

目次1 ①写真撮影2 ②強制採尿2.1 ②-①強制採尿の可否2.2 ②-②手続き2.3 ②-③強制採尿令状による連行3 ③強制採血4 ④おとり捜査5 ⑤呼気検査6 ⑥コントロールデリバリー ①写真撮影 証拠としての写真には、現場写真、再現写真などがある。このうち、犯行ないし、その間近の様子を撮影する行為は、...

捜査4.捜索/差押

目次1 ①捜索/差押の要件2 ②令状の記載要件2.1 ②-①差押対象物の記載2.2 ②-②罰上の記載2.3 ②-③捜索すべき場所の記載3 ③令状の効力3.1 ③-①同居人の携帯物3.2 ③-②居合わせた者の身体、携帯物3.3 ③-③電磁的記録物3.4 ③-④別件捜索、差押3.5 ③-⑤令状に記載のない物4 ...

捜査3.捜査の端緒

目次1 職務質問1.1 ①職務質問と有形力の行使1.2 ②-①所持品検査-11.3 ②-②所持品検査‐21.4 ③-①検問1.5 ③-②一斉(警戒)検問の根拠1.6 ③-③検問の限界2 告訴2.1 ①告訴2.2 ②告訴なき捜査2.2.1 1.被害者の名誉を保護する趣旨2.2.2 2.犯罪の軽さ2.2.3 3...

捜査2.逮捕・勾留を巡る諸論点

目次1 被疑者の逮捕・勾留1.1 逮捕及び勾留1.1.1 ①通常逮捕の要件1.1.2 ②現行犯逮捕の要件1.1.3 ③準現行犯逮捕の要件1.1.4 ④緊急逮捕の要件1.1.5 ⑤被疑者勾留の要件2 逮捕勾留の問題点2.1 ①事件単位の原則2.2 ②逮捕前置主義2.3 ③-①一罪一逮捕一勾留の原則2.4 ③-...

捜査1.捜査総説

目次1 ①有形力行使1.1 ①-①有形力行使と「強制の処分」1.2 ①-②任意捜査に伴う有形力の行使2 ②任意の「取調」と「逮捕」3 ③違法捜査とその救済3.1 手続内の救済3.2 手続外の救済 ①有形力行使 ①-①有形力行使と「強制の処分」 刑事訴訟法197条1項本文は任意捜査を許容するとともに、197条...

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